農業参入コンサルティング・成功事例(株式会社東峰)
福祉事業から農業に参入 「農福連携」の成功事例

株式会社東峰
代表取締役 吉田 浩樹 氏
会社概要
会社名 株式会社東峰
代表取締役 吉田 浩樹
所在地 千葉県松戸市金ヶ作408-333
設立日 2011年3月3日
資本金 10,000千円
事業内容 ・サービス付き高齢者向け住宅
・デイサービス
・訪問介護
HP https://toho-familiar.com/
株式会社東峰は、千葉県松戸市に本社を構え、船橋市、市川市、松戸市、館山市、鎌ヶ谷市でサービス付き高齢者向け住宅、他福祉事業を展開しています。「生涯現役」を掲げ入居者に明日の糧を提供するために農業ビジネスに参入。作物を育てるだけではなく、加工・販売もすることで入居者に楽しみと生きがいを提供しています。
農福連携とは
農福連携とは、要介護者や障がい者等の農業分野での活躍を通じて、自信や生きがいを創出し、社会参画を促す取組のことをいいます。福祉の分野では、障がい者の働く場所を確保する必要があり、一方農業分野では人手不足が深刻で、さらに障がい者にとって農業は相性が良い作業とされる事からお互いのニーズを結びつけた「農福連携」が推奨されています。

「生涯現役」を入居者が実践できる仕組みづくり。

―――福祉事業からなぜ農業ビジネスに?

船橋市、市川市、松戸市、館山市、鎌ヶ谷市でサービス付き高齢者向け住宅、他福祉事業の運営やデイサービスを提供していますが、私たちの施設に入居される方は基本的に要介護状態です。ご高齢で何かしらのご病気をきっかけに要介護状態になり、そこから出会うのが我々のような介護事業者なのです。要介護状態の方を教科書的には「社会的弱者」と表現しますが、私は福祉に携わる者として、その言葉に違和感を覚えました。弱者だから守られる立場のように受け取れるからです。そうではなく我々は人は誰でも「生涯現役」だと考えています。それには自立が必要です。金銭的な自立、自分で動けるという身体的な自立もありますが、なによりご自身で生活を選択し、地域や社会と関わり生活することを生涯現役だと定義しています。

2011年の東日本大震災のときにテレビで仮設住宅の隣に花壇で花を栽培してるボランティアさん達がいるというニュースを見ました。なぜ花壇を作っているのかというと、震災で会社や学校や家族や友人がなくなり、明日の糧がない人たちが大勢いるからだといいます。どんな時でも花は次の日には育っている、それを見て明日の糧にしてもらいたいという想いでした。私はとても感銘を受けました。当施設にご入居される方は要介護状態でご高齢ですし、いつか自分にも最後の日がくるということはご理解されています。でも、それを不安や恐怖を感じながら生きるよりも、育てているトマトが収穫できるまでとか、自然薯が大きく育つまで頑張ろうというように楽しみにしてもらいたいのです。楽しみが待っているって、きっと体を元気にすると信じています。楽しみを待てる、そんな仕組みをつくるのが私たちの使命だと思い農業ビジネスに参入しました。

想いとは裏腹に入居者にはあまり受けが良くなかった。

―――入居者の皆さんには喜ばれたのではないですか

まず最初に船橋市の施設から車で10分で行ける畑を借りて始めることに。これで地域の中で自立して生きる仕組みができたと思いました。ところが今日は暑いから行かないとか、雨が降りそうだとか、風が強いから、遠いからとか、、、なかなか足が向かず、こちらの想いとは裏腹で大失敗でした。

―――そこで諦めることはなかったのですか?

それでも皆さんが行きたくなるような場所を作りたいという願いは持ち続けていましたね。あるときに館山市の方で施設をやりませんかとお誘いをいただきました。そこは広い土地だったので建物を建てても、その隣に1,000㎡ぐらいの農地を確保できました。施設の隣なら 10分もかからないし、雨が降ってもすぐ帰れる。ここで福祉施設と農業をやると決めて本格的に参入することにしました。

農業をやる福祉事業者は他にもあります。
でも販売までやるのは当施設だけ。

―――販売までやる狙いは何ですか?

福祉施設で農業をやるところはたくさんありますが、育てた野菜を販売するというところはないですね。
でも生涯現役で地域との関わりをもつというのが当施設のテーマなので、作物を育てて販売をして入居者に還元するという仕組みを作ることが狙いでした。
そうすると福祉施設の中で普段はなかなか出ない会話が生まれてくるのです。「私が出荷したもの誰か買ってくれたかな?」「美味しく食べてくれたかな」という内容です。この言葉を聞いて地域で自立した暮らしをスタートできたと実感しました。

イチゴのハウス栽培を館山市でスタートしました。

―――なぜイチゴ栽培を選んだのですか?

農業事業を始めることになった時に施設のスタッフの中に農業関係の経験者はいませんでした。だから何から初めて良いかわからず千葉興業銀行の担当者に「こんな想いで農業をやりたいんだ」と相談を持ちかけました。そうすると「ちば興銀の本部にはアグリを専門的に支援する部署がありますよ」ということで営業支援部アグリ・フードビジネスチームの宮本さんをご紹介いただきました。館山という場所柄どんな作物が良いか選定の段階から相談しました。レタスやトマトなどの一般的な野菜も検討しましたが、設備や販路の難しさから採算が合わないと判断。宮本さんから千葉県は温暖な気候ですし、イチゴ栽培はどうですかと提案をいただきました。イチゴは確かに特別感がありますし、イチゴ狩りの観光農園もできそうで、その提案を受け入れることに決めました。さっそく宮本さんに八千代市のイチゴ農家さんを紹介していただき研修を受けたり、ハウス栽培の設備選定のアドバイスをいただいたり、さらには事業計画書の作成など何から何までやってもらいました。私たちは農業に関するノウハウはありませんでしたが、業者さんとの間に宮本さんが入ってくださったおかげでトントン拍子で農業ビジネスをスタートできました。通常、新規事業を始めるのには3~4年はかかるところを、千葉興業銀行アグリチームのサポートで1年目から栽培が開始できたの本当にありがたいことです。

栽培中の技術指導もフォローしてもらい
初年度から無事出荷できました。

―――初めての農業でトラブルはありませんでしたか?

設備・機器は全く問題なく導入できたし、イチゴの苗も無事定植することができました。でも私たちは福祉が専門なので、問題なく育てられているのかどうか多少の不安はありましたね。そこで千葉興業銀行に紹介いただいた会社さんにスマホのテレビ電話で葉っぱの様子をみてもらったところ、葉ダニの被害を受け始めていると指摘をもらいました。早急な対処ができたので1回分の収量こそ減りましたが、すぐに通常の収穫量に戻すことができました。この技術指導がなかったら大きなトラブルになっていたと思うので、技術指導を受けられたことに感謝しています。

入居者に給料を支払うために
いまの課題は販路開拓です。

―――収穫したイチゴの販路は?

現在は、道の駅や地元のスーパーさんに卸していますが、もっと販路を開拓したいと思っています。というのも収穫したイチゴをそのまま出荷するだけでなく、イチゴジャムやドライフルーツに加工した商品も作っているので、そういうものを卸す先を探しています。販売に力を入れたい理由というのは、やはり入居者の皆さんの自立した暮らしを実現するためにお給料を払いたいからです。入居者の方はご高齢で要介護ということもあり、一人ですべてができるとは限りません。でも認知症の方でもできる仕事や車椅子の方でもできる作業など、その方ができることをやって収入が得られる、そういう仕組みを作りたいのです。そのためには販路開拓が欠かせません。こう考えるようになったのは、千葉興業銀行が農福連携の意義を理解して一緒に考えてくれるからだと思います。もしも栽培品目の選定と大量生産することだけのサポートだったら、販路の相談まではできなかったと思います。

千葉興業銀行とまさに二人三脚。
これからも伴走に期待しています。

―――今後、千葉興業銀行に期待することは?

千葉興業銀行には事業計画書から作ってもらい、本当に二人三脚で歩んでこられました。そのおかげで今この段階まで来られているので、これから先はやっぱり農福連携の先にある「生涯現役」モデルを作っていくために、やはり販路拡大に協力いただけることを期待しています。販路拡大が入居者の皆さんを笑顔にするのに必要だと思っているのでこれからも引き続き、技術支援・販売支援をよろしくお願いします。

次の方にオススメです

  • 農業に興味があるが誰に相談していいかわからない
  • 事業の多角化として農業に興味がある
  • 障がい者やシニア社員の活躍の場として農業を検討している
  • 自社製品の原料を自ら栽培したい
  • 福祉事業の中で農業に取り組んでみたい
  • SDGsへの取り組みとして農業を活用してみたい
  • 農地があるがどう活用したらいいかわからない

千葉興業銀行がお客様の農業参入を
サポートします。

  • 営農計画作成
  • 栽培品目選定
  • 農地選定
  • 栽培技術

農業参入コンサルティングサービスの特徴

スタートアップ支援

農業参入の検討にあたっての事業構想作りから、営農計画の作成サポート、リスク分析等をおこなっております。

フォローアップ支援

栽培技術を身につける為の研修農場のご紹介や作業現場に直接伺っての栽培技術指導と農産物の生育状況の確認などをおこなっております。