専業主婦は年金がいくらもらえる?第3号被保険者制度の廃止についても解説

配偶者の退職が迫っている専業主婦の方は、自身が年金をいくらもらえるか気になっているのではないでしょうか。少しでも年金を多くもらい、老後生活を豊かにしたいと考えている方もいるでしょう。

実は専業主婦がもらえる年金は毎月5万円程度と、決して多くはありません。しかも、様々な状況によってもらえる年金額が変わります。

そこでこの記事では、専業主婦が老後にどれだけ年収をもらえるか、専業主婦がもらえるケース別の年金額を解説します。

専業主婦に関連のある第3号被保険者制度が廃止になるかもしれない可能性についても触れているので、ぜひ確認してください。

専業主婦の平均年金月額は約54,000円

専業主婦が受け取れる平均年金月額は約54,000円です。会社員として働いている女性の平均年金月額は厚生年金104,878円を含む約16万円となり、受け取れる年金は約3倍の差があります。

さらに、配偶者が会社員ではなく厚生年金を受け取れない自営業者の場合は、より世帯収入が少なくなります。国民年金に加入する男性の平均年金月額は約59,000円のため、自営業者と専業主婦の夫婦の場合、約11万円の年金収入です。

一方、共働きの場合、厚生年金の加入期間や給料などによって受給額は異なりますが、厚生労働省調査の平均年金月額を受け取るケースだと、夫婦2人で厚生年金・国民年金を合わせて約39万円の年金を受け取れます。

したがって、共働き世帯と比較すると専業主婦世帯がもらえる年金は少なくなってしまいます。

専業主婦がもらえる国民年金について、さらに詳しく見てみましょう。

厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

専業主婦は国民年金が受け取れる

老後に受け取れる公的年金には、20歳以上60歳未満のすべての方が加入する国民年金と、70歳未満の会社員や公務員などが加入する厚生年金の2種類あります。国民年金は被保険者が第1号~第3号の3種類に分かれています。

そのうち厚生年金を受け取れるのは会社員や公務員などの第2号被保険者であり、第3号被保険者である専業主婦は国民年金のみの受給です。なお、第3号被保険者は以下のように定められています。

”国民年金の加入者のうち、厚生年金に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満であり、かつ配偶者の年収の2分の1未満の方)を第3号被保険者といいます。”

日本年金機構「年金用語集|た行 第3号被保険者

先述したように、自営業者などの国民年金の保険料を自分で直接納める第1号保険者や、第3号被保険者となる専業主婦は、国民年金に加えて厚生年金も受け取れる会社員や公務員より給付が少ないのが特徴です。

生涯で約1,700万円を受け取れる

厚生労働省の調査によると、2022年度の女性の国民年金の平均月額は54,426円です。もし54,426円の国民年金を65歳から90歳まで受け取った場合、約1,700万円受け取ることになります。

とはいえ、国民年金のみでは受給額が少ないことは否めません。そこで、国民年金の任意加入や年金の繰下げ受給をおすすめします。

国民年金の任意加入制度は、国民年金の受給要件を満たしていない場合や満額受給したい場合に使える制度です。

また、年金を繰下げ受給すると1カ月遅らせるごとに0.7%ずつ受給額が増え、増額した年金を生涯受け取れます。そのため、年額60万円を受け取る予定の方が受給開始を1年遅らせると、8.4%の増額率となり年に約5万円多く受給できます。

なお、年金の繰下げ受給について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:年金は何歳からもらえる? 繰上げ受給・繰下げ受給を詳しく知ろう

厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

状況・環境によって専業主婦の年金は変わる

家庭や自身の状況または環境によって、専業主婦の年金は変わります。具体的には配偶者との死別や離婚が発生したケースです。

また、配偶者と死別したときや離婚したときは第3号被保険者ではなくなるため、届出が必要です。さらに、年収が一定額以上になったときも国民年金の種別が変わる可能性があります。

それぞれのケースついて詳しく見ていきましょう。

もし夫が死亡した場合

子どものいる家庭でもし会社員の夫が死亡した場合、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受け取れます。

遺族基礎年金は子どもがいない専業主婦の場合は受け取れません。また、妻が30歳未満で子どもがいない場合は、給付が5年間に限られます。

遺族年金の年金額は遺族基礎年金と遺族厚生年金で異なり、夫が亡くなった月の翌月分から受け取れます。遺族基礎年金は年額795,000円です。子どもがいれば、2人目まで228,700円、3人目以降は76,200円加算されます。

一方、遺族厚生年金は亡くなった夫の厚生年金の加入期間や報酬額から計算されます。2003年4月以降の加入期間がある場合は、以下の計算式によります。

  • 平均標準報酬額×(5.481÷1000)×2003年4月以降の加入期間の月数

例えば平均標準報酬額が40万円で、2023年4月以降に20年間加入している場合、上記の式に当てはめると年額で526,176万円受け取れます。

日本年金機構「遺族年金ガイド 令和5年度版

もし離婚をした場合

離婚をした場合でも、夫と妻の受給額の差を埋めるために「年金分割」という制度があります。年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金の納付は夫婦共同で行ったものとみなして将来の年金額を計算する方法です。

分割方法には、合意分割と3号分割の2種類の制度があり、制度によって年金分割の割合は異なります。

婚姻期間の長さや年金の加入期間によって受け取れる受給額は変動します。例えば、厚生労働省の調査によると、年金分割前の平均年金月額は55,215円で分割後は87,949円と、分割をした場合は約3万円ほど増えます。

この金額はあくまで平均金額のため、具体的な受給額を知りたい場合は、50歳以上の方であれば分割後の年金見込額を調べられます。

ただし、年金分割は離婚をした翌日から起算して2年以内に請求しないといけない点には注意が必要です。

厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

日本年金機構「年金の制度・手続き|離婚時の年金分割

もしパートをしていた場合

パートをしている主婦の場合、以下のように社会保険のケースが3つに分かれます。

  • パート先で社会保険に入っている
  • 夫の社会保険の扶養範囲内で働いている
  • パート先の社会保険にも夫の社会保険にも入っていない

特に注意が必要なのは、「年収の壁」と呼ばれる年収が130万円を超えるケースです。年収が130万円を超えると社会保険の扶養に入れなくなり、自身で社会保険に入る必要があります。ただし、勤務先の厚生年金の加入条件に満たない場合は、国民年金に入らないといけません。

この場合、第1号被保険者となり自身で保険料を納付する必要があります。2023年度の国民年金保険料は月額16,520円のため、第3号被保険者のときより年間で約20万円の負担が発生してしまいます。

社会保険の扶養をはずれるデメリットは、税金や社会保険料がかかるために手取りが減ることです。しかし、健康保険と厚生年金に加入すれば病気やけがをしたときの保障が手厚くなり、将来受け取れる年金も増えます。

労働条件によっては年収が130万円以下であっても社会保険の加入義務が発生することがあります。個別の条件によってケースは異なるため、勤務先に確認しましょう。

また、2023年後半から「年収の壁」を意識せず働くことができる環境づくりを支援する年収の壁・支援強化パッケージが厚生労働省から発表されてます。これは年収130万円を超えたとしても2年間は扶養に入れるという暫定措置です。

これによって第1号被保険者となるか第3号被保険者のままでいれるかが変わりますので、しっかり確認しておくことが大切です。

日本年金機構「年金Q&A|Q 国民年金の保険料はいくらですか。

第3号被保険者制度が廃止になる可能性があります

第3号被保険者である専業主婦は、夫が会社員であれば保険料を自ら負担しなくとも国民年金の受給が可能です。

しかし、第1号被保険者や共働き世帯は各々で保険料を負担しなければなりません。この点が不公平ではないかと言われているため、廃止になる可能性があるのです。

また、年収が一定額を超えると第3号被保険者ではなくなるため、労働時間を調整することで労働力不足の要因の1つにもなります。

とはいえ、本当に第3号被保険者が廃止されるのか、廃止されるとしたら具体的にいつ頃になりそうかは不透明です。ただし、実際に第3号被保険者が廃止された場合、保険料によって世帯全体の収支が変わるでしょう。

今後の貯蓄額にも影響するため、老後生活に不安を抱えないためにも、年金以外からの収入を増やすことが大事です。そうすると専業主婦をやめることも選択肢の1つになるかもしれません。

とはいえ、家庭や自身の状況で働くことが困難な場合もあるでしょう。専業主婦の年金制度はいつどうなるかわからないと考え、先述したように国民年金の任意加入や税制優遇制度を利用して資産を増やすことを検討しましょう。

年金受給額が予想より低ければ、老後資金が足りなくなるおそれもあります。老後に必要な最低生活費や年金がいくらもらえるかわかる計算式を、以下の記事で解説しているので参考にしてください。

関連記事:自分の年金はいくらもらえる?計算式や平均年金月額を知って将来に役立てよう

自身の状況に合わせて年金額を想定しておくことが大切です

この記事では専業主婦の年金について解説しました。家庭や自身の状況が変われば、受給額や国民年金の種別が変わります。

また、第3号被保険者は廃止される可能性があり、廃止されれば保険料を自身で負担することになるかもしれません。そうなれば家庭の資産に大きな影響を与えるでしょう。

老後の資金は自分で準備するという意識を持って、今から対策を考えていれば、いざというときに焦らずに済みます。自身の現在の状況を鑑みて、どうすればできるだけ多くの年金を受け取れるか考えておくことも大切です。

年金についてこんな疑問や不安はありますか?

  • いつから、どのくらい受け取れるの?
  • 年金を受取るための手続き、難しそう…
  • 働きながら年金がもらえるって、本当?
  • 年金請求時期を遅くすれば、年金額が増える?
  • 働き手に万一のことがあったら、どうしたらいいの?

万全な準備のために<ちば興銀>の年金相談会をご利用下さい!
個別相談でお一人おひとりの疑問や不安にお応えします。

また「人生100年時代」と言われる時間を有意義に過ごすために、セカンドライフに向けた生活設計についてもわかりやすいアドバイス・お手伝いをさせていただきます。

年金請求のご準備・お受取は身近で便利な<ちば興銀>へ

年金相談会の予約はこちら

年金受取口座はちば興銀!

年金受取口座は一度、お手続きいただくだけで年金が自動的にお客さまの口座に入金されるサービスです。年金受取口座をちば興銀にすると、さまざまな特典が受けれます。

特典・メリット

  1. 1はじめての年金受取で3,000円分のギフトをプレゼント!
    ちば興銀で年金を受け取ると年金初回振込時 ギフト券3000円分プレゼント!
  2. 2お取引に応じてATM利用手数料が無料に!
  3. 3お得な金利の定期預金を作成できる!
  • 上記1~3は当行無料ポイント制度コスモスクラブが加入条件になります。

詳細は当行HPへ→https://www.chibakogyo-bank.co.jp/kojin/club/

お手続き方法

[これから年金を受給される方]

お受取り開始となるお誕生日のおよそ3か月前に日本年金機構より「年金に関するお知らせ」や「年金請求書(事前送付用)」が送られてきます。
必要書類をご用意のうえ、ご利用のちば興銀の口座を受取口座に指定してください。

  • 戸籍謄本等必要書類はお誕生日以降ご用意ください。

[現在利用している金融機関から受取口座を変更される方]

受取口座をご利用のちば興銀の口座へ変更をお願いいたします。
変更の手続については、お近くの当社店舗窓口、コンタクトセンターまたは、日本年金機構のお近くの相談・手続窓口でご確認ください。
共済年金(年金機構から支給されているものを除く)の受取機関の変更手続は各共済組合等へお問い合わせください。

年金相談会のご予約
ちば興銀コンタクトセンター(年金相談会ご予約窓口)
受付時間:平日 9:00~17:00
(祝日と銀行休業日を除く)
携帯電話からはこちら
受付時間:平日 9:00~17:00
(祝日と銀行休業日を除く)
  • 通話料はお客さま負担となります
各種商品について・資料のご請求
ちば興銀コンタクトセンター
音声ガイダンス2番を押してください
受付時間:平日 9:00~17:00
(祝日と銀行休業日を除く)
携帯電話からはこちら
受付時間:平日 9:00~17:00
(祝日と銀行休業日を除く)
  • 通話料はお客さま負担となります

2024年2月29日現在