PROJECT STORY 02
新規病院立ち上げ支援プロジェクト

いつでも、「想う力」が「叶う力」になる

医療分野で取り扱う機器は、一台数千万円もするほど高額なものもあります。
そのため、ご融資額がたいへん大きくなるのですが、それに比例して検討の難易度も上がります。
かつてない規模のプロジェクトに挑んだ行員が、どのように成功に導いたのか、そのストーリーをご紹介します。

眞田 心哉
営業支援部 上席調査役(医療)
1995年入行

商学部に所属し、公認会計士の専門学校とのWスクールだった学生時代。また、アルバイトにも積極的に取組み、働くことに対する面白みを感じていた。銀行を志望した理由は、県庁に勤め、橋などをつくる仕事をしていた父の影響が大きかった。理系ではないため、ものづくりはできないが、学生時代に身につけた会計知識を活かして法人のお客さまへのご支援を通じて地元で大きなプロジェクトを手がけたいと考えて、ちば興銀に入行した。

STORY 01
過去最大のご融資、
極端に短いスケジュール

入行後、5つの支店で営業活動を経験して現在の営業支援部へ異動し、医療や介護分野のお客さまをお手伝いしています。主に担当するのはご融資の支援です。病院や介護施設には、さまざまな機器が必要となり、事業を開始する際には多額のご融資が必要となります。しかし、非常に専門性が高い上、プロセスが複雑になります。支店の担当者だけではまかないきれないため、専門性を持つ私たちが支援をしているのです。医療のことは分かるが、ご融資のことは詳しくないお客さま。ご融資のことは分かるが、医療のことは分からない支店担当者。私がその間に立ち、プロジェクトを進めていきます。
クリニックから、大きな総合病院まで、さまざまな規模のお客さまを担当してきましたが、ある時、多数の手術を手がける医療法人から、新しい病院を建てるための融資をしてほしいという依頼が舞い込んできました。しかも、既にお取引のあるお客さまではなく、私の顔馴染みの税理士の方からご紹介いただいた、新規のお客さまです。お話を伺うと、土地の購入、医療機器の購入、病院の運営費を合わせて、数十億円のプロジェクトでした。「すごい話がきたな」と率直に思い、頭にじんじんとくるような衝撃があり、奮い立つような感覚がありました。何しろ、私が経験してきたなかでも、間違いなく最大規模の案件だったからです。
さらに規模に加え、スケジュールも極端に短いものでした。土地の購入日が決まっており、ご融資までの期間の猶予は1か月もありませんでした。

STORY 02
やってみたいという想いが
不安に勝った

病院を新設するというのは、いわば未来の話です。私たちはその未来を信じて、ご融資をさせていただきます。ご融資は、金額の多寡にかかわらず、必ずご返済をしていただかなければなりません。そのため、その未来が実現可能か、お客さまの現状を把握し、事業計画やシミュレーションなどで確かめる必要があります。つまり、1か月もない期間で、お客さまの“すべて”を知らなければならなかったのです。一般的に、個人経営のクリニック開院時のご融資で、最低でも1か月以上のお時間をいただきます。それが数十億円という規模の病院で、しかも情報のない新規のお客さまとなると考えられない期間です。後に聞いた話では、期間を理由にお断りされた銀行もあったようです。不可能だと思ってお断りを入れても仕方ないプロジェクトだったと思います。私たちが支店で行った最初のミーティングでも、誰もが話を受けるかを迷っていました。
しかし、そこで私は「できるか、できないかで言えば、できるよ」と言いました。根拠があったわけではありません。他行にも声が掛かっていましたので、私たちが全力を注いでも、当行を選んでいただけない可能性も大いにありました。しかし、これだけの大きなプロジェクトをやってみたいという想いが、不安を上回らないわけがありません。支店の皆さんも私の想いに賛同してくれました。こうやって、私たちの壮大なプロジェクトが幕をあけました。

STORY 03
プロジェクトがダイナミックに
動き出す

絶対にやり切ると腹を決めると、目標に対してどうすればよいのかピースをはめ込んでいく考え方になります。自分なりにきちんと道筋を立て、私の部下、支店の担当者、上席、支店長、審査部など関係者に協力してもらいながら、あらゆる手を尽くしました。例えば、通常、審査部にはある程度書類をまとめた上で相談しますが、この案件に限ってはかなりラフな状態で協議しました。
このように考えながら動くとともに、さまざまな人が関わってくると、プロジェクトがまるで生き物のようにダイナミックに動き出したのです。もちろん、関係者の協力のおかげでしたが、何よりも私が中心となってプロジェクトを動かしていると実感できた時は、何とも言えない充実感がありました。
お客さまのもとにも、情報取得のため、何度もお伺いしました。自分たちの調査だけでは限界があり、直接お客さまに確認しなければ分からないことがあるからです。お伺いするなかで、私にはどうしても確かめたいことがありました。それは、この病院を建てる理由です。銀行に数十億円規模のお金を借りて新しい病院を建てることは、経営上、大きなリスクを背負います。なぜ、そこまでして新たな病院を建設するのか。私は、どうしても確認しておきたかったのです。

EPILOGUE
強く想えば、
「為せば成る」が実現する

ある時のご面談で院長先生に尋ねました。「どうして、リスクを背負ってまでこんなに大きな病院をおつくりになるのですか」と。すると、院長先生は少し微笑んで、ぽつりとこうおっしゃいました。「男に生まれたからには、大きなことをやりたい。これじゃ、答えになりませんかね。」その院長先生のお言葉には「地域のため」「誰かのため」といった色々な想いが詰まっているように感じられ、すとんと私のなかに落ちてきました。一緒に話を聞いていたメンバーも「私、あの先生好きです。面白くなってきた!」と、相変わらず厳しい状況にもかかわらず、奮い立ってくれました。私たちにとって、お客さまの想いは、何よりも原動力になります。そのような私たちの原点を思い出すきっかけになりました。
この一大プロジェクトは、紆余曲折ありましたが、お客さまには当行を選んでいただき、無事に期間内にご融資することができました。私は「為せば成る」という言葉を信条にしていますが、このプロジェクトはまさに私の信条を具現化した経験です。「必ずできる」と強く思い、真剣になって取り組めば、必ず成功することを再確認でき、私にとって大きな価値あるプロジェクトになりました。戦後、他行が重厚長大産業に力を入れる一方で、ちば興銀は医療支援に力を入れてきました。そんな歴史を引き継ぐこともできたのではないかと思います。