残クレ(残価設定ローン)とは?メリット・デメリットを知ろう

残クレ(残価設定ローン)とは、車を購入する際に利用できるローン契約の一種です。

残クレと銀行のマイカーローンにはさまざまな違いがあるため、それぞれの特徴を理解したうえで、自分自身のニーズに合ったローンを組むことが大切です。

この記事では、残クレの概要やメリット・デメリットをお伝えします。

銀行マイカーローンとの比較や実際に借りる際に役立つシミュレーションも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

残クレ(残価設定ローン)とは月々の支払額を抑えるローン

残クレとは、購入する車体のローン終了時の下取り額を事前に設定し、その金額分を差し引いた額で契約するローンのことです。

例えば、車体価格が500万円の車を期間5年の残クレで購入の場合、5年後の下取り額を100万円とすると、最終返済分を除く5年間で返済する金額(元金)は400万円です。

このように、車体価格から将来の下取り額を差し引くことにより、月々の支払額を抑えられるメリットがあります。

ローン契約終了時は、以下の選択肢の中からいずれかを選びます。

  • 車をディーラーへ返却する
  • 残価を払って買い取る
  • 新車へ乗り換える

なお、契約終了時には走行距離や車両の状態に関する査定があり、結果次第では追加費用が発生するケースがあるため、注意が必要です。

残クレ(残価設定ローン)と銀行マイカーローンとの違い

残クレと銀行マイカーローンには、以下のような違いがあります。

項目 残クレ(残価設定ローン) 銀行マイカーローン
金利 高い傾向にある(4~6%程度) 低い傾向にある(1~4%程度)
審査基準 年齢、職業、勤続年数、雇用形態などの審査があるが、比較的審査は通りやすい 残クレに比べると審査が厳しい傾向がある
融資対象 新車購入に特化(条件によっては中古車でも可) 新車および中古車の購入だけでなく、車検や修理費用などにも対応
車の所有権 ディーラー 購入者
契約終了時の取扱い

以下の選択肢がある

  • 車をディーラーへ返却する
  • 残価を払って買い取る
  • 新車へ乗り換える
特になし
制限等 走行距離制限がある。所有権がディーラーにあるため、自由にカスタマイズや売却ができない 制限なし

上記の違いを理解したうえで、予算やライフスタイルに合ったローンを選択することが大切です。

残クレ(残価設定ローン)の4つのメリット

残クレには銀行マイカーローンとは異なる点が多くあり、残クレならではのメリットがあります。

契約にあたっては、残クレのメリットが自分自身のニーズと合致するか判断することが大切です。

残クレの主なメリットは、以下の4つです。

  • 月々の支払額を抑えることができる
  • 数年ごとに新車への乗換が可能である
  • 設定した残価が保証されている
  • 契約と車の購入手続きを簡単に進められる

それぞれについて詳しく解説します。

月々の支払額を抑えることができる

残クレは、ローン終了時点における車の価値を事前に決め、その金額を差し引いた金額で月々の返済金額が決まります。

そのため、車の購入金額全体でローン契約をする銀行のマイカーローンなどに比べると、月々の支払額を抑えることができます。

ただし、ローン金利は車両本体価格全額に対してかかる点には注意が必要です。

数年ごとに新車への乗換が可能である

原則として、車の返却を前提とする残クレでは、返却によってローンの残額の清算が完了するため、別途残価を返済する必要は基本的にありません。

車を返却するだけで新車への乗換えが可能である点はメリットといえます。

ただし、基本的には同じメーカーの車に乗り換えなければならない点には注意が必要です。

設定した残価が保証されている

一般に車の査定価格は、走行距離や年式だけでなく、そのときどきの中古車市場の状況にも影響を受けて変動します。

しかし、残クレであれば、契約時に前もって残価が設定されるため、売却時の中古車市場の状況に影響を受けずに下取り額が保証されている状態といえます。

なお、保証される残価設定にはさまざまな条件があります。

例えば、契約時の走行距離制限を超えた場合は追加費用が発生するため、日常的に長距離を走る場合は注意が必要です。

また、車体に傷をつけてしまったり不具合があったりすると下取り額が下がってしまい、下取り額が残価より低額になると差額を請求されることがあります。

契約と車の購入手続きを簡単に進められる

一般的に、残クレはディーラーが提携している信販会社等に申込みをするケースがほとんどであり、車の購入手続きとローンの契約を同時に進められるため、手間がかかりません。

銀行に出向いて契約する必要がある銀行マイカーローンと比較すると、時間と手間を節約できるでしょう。

また、専門知識を持つスタッフに不明点や疑問点を確認しながら契約を進められる点も残クレのメリットです。

残クレ(残価設定ローン)の4つのデメリット

残クレのメリットについて解説しましたが、デメリットについても理解しておく必要があります。残クレの主なデメリットは、以下の4つです。

  • 金利負担が大きくなることがある
  • 車の所有権はディーラーが持つ
  • 走行距離の制限がある
  • 契約終了時に支払いが発生する可能性がある

銀行マイカーローンと比較して金利が高い傾向があることに加え、走行距離の制限や契約終了時に支払いが発生するリスクがあります。

また、中古車市場では購入時の車体価格よりもローン契約終了時の価値が高くなることがありますが、残クレの場合は事前に設定した価値は変動しないため、損をするおそれがあります。

残クレのデメリットについて詳しく解説していきます。

金利負担が大きくなることがある

先述した通り、残クレは金利負担が大きくなることがあります。金利は支払総額に直結するため、多くの方が気にする点でしょう。

銀行が取り扱うマイカーローンと比較すると、残クレの金利は高めに設定されています。銀行マイカーローンの金利は1〜4%程度であるのに対し、残クレの金利は4〜6%程度が一般的です。

車の所有権はディーラーが持つ

車をディーラーへ返却することを前提とする残クレの場合、車の所有権はディーラーにあります。この前提があるため、車のカスタマイズができず、ディーラーの許可なく車の処分・売却ができません。

また、ローンを完済した際に買い取る場合は、所有権を自分に移す手続きが必要となります。

ご自身での手続きも可能ですが、用意する書類が多いためディーラーに頼む方もいらっしゃるでしょう。その場合は追加で手数料の支払いが必要になります。

走行距離の制限がある

ローン期間終了後の車の査定価格を決める要素の1つに走行距離があります。事前に決められた車の価値を維持するため、走行距離が制限されることもあります。

通勤で毎日車に乗る方や頻繁に車で遠出をする方は、走行距離の制限について事前に確認が必要です。

契約終了時に支払いが発生する可能性がある

契約終了時に支払いが発生する場合に備え、資金を準備しておく必要があります。

ローン契約終了と同時に車を買い取る場合は改めてローンを組むことが可能ですが、再度審査があったり、金利が上がったりといったデメリットがあります。

返却を選ぶ際も、査定額が残価設定額より低い場合は差額の支払いが必要です。

事故などで車に傷がつくと、車の価値が下がってしまいます。事前に設定していた車の価格を下回った場合、その差分を支払わなければなりません。

大きな事故を起こして廃車になってしまった場合も、ローンの支払いが残ります。ディーラーから一括返済を求められる可能性もあるため、自動車保険の中でも車両保険に加入しておくなどの対策が必要です。

残クレ(残価設定ローン)と銀行マイカーローンは結局どっちがいい?

残クレと銀行マイカーローンの違いや残クレのメリット・デメリットについて解説しましたが、「どちらがよいのか判断が難しい」という方もいらっしゃるでしょう。

それぞれのローンに向いている方・向いていない方について、具体例を挙げて解説します。支払総額がどのくらい違うのかもシミュレーションしますので、参考にしてください。

向いている方・向いてない方を比較

ここまでお伝えしてきた内容を踏まえると、それぞれのローンに「向いている方」「向いていない方」は以下のように整理できます。

項目 向いている方 向いていない方
残クレ(残価設定ローン)
  • 毎月の支払額を抑えたい方
  • 車の利用期間があらかじめ決まっている方
  • 手続きの手間を省きたい方
  • 長期間同じ車に乗りたい方
  • 走行距離が長い方
銀行マイカーローン
  • 支払総額を抑えたい方
  • 中途売却の可能性がある方
  • 走行距離が長い方
  • 自分名義の車を所有したい方
  • 短期スパンで新しい車に乗り換えたい方

残クレは、事前に決定した残価部分は月々のローンの返済金額に含まれないため、月々の支払額を抑えることが可能です。しかし、支払総額は銀行マイカーローンのほうが少なくなる点を理解しておきましょう。

支払総額のシミュレーションを比較

残クレと銀行マイカーローン、それぞれを利用した場合の支払総額を比較します。

下記シミュレーションでは、購入価格400万円、返済期間5年(ボーナス時返済なし)、5年後の査定価格100万円と仮定して試算しています。

項目 残クレ(残価設定ローン) 銀行マイカーローン
金利 4.0% 2.0%
毎月支払額 58,600円 70,100円
利息(手数料)負担額 518,307円 206,662円
最終回支払額(残価) 1,000,000円
支払総額 4,518,307円 4,206,662円

上記比較表でもご覧いただける通り、残クレでは毎月の支払額を抑えることができます。一方、銀行マイカーローンでは利息負担額が少ないため、最終的な支払総額を抑えることができます。

残クレ(残価設定ローン)は支払総額が高くなる可能性あり

残クレには月々の支払額を抑えられたり、契約手続きの手間が省けたりといったメリットがあります。また、短期間で新しい車に乗り換えたい方にとっては魅力的な選択肢でしょう。

一方で、銀行マイカーローンと比較すると金利が高いため、支払総額は高額になります。銀行マイカーローンは金利が低いことに加え、車検や修理費用などにも幅広く対応可能です。走行距離などの制限がないことも大きな利点といえるでしょう。

支払総額を抑えて自分の車を所有したい方には、銀行マイカーローンがおすすめです。

銀行マイカーローンならちば興銀!

ちば興銀の「マイカーローン」では、新車・中古車・オートバイの購入だけでなく、運転免許証の取得資金や現在ご返済中の自動車ローンの借換資金など、幅広い用途でご利用いただけます。

お申込みからご契約までWEBで完結しますので、ご都合の良いタイミングでお申込みできます。

ちば興銀のマイカーローンが気になる方はぜひお気軽にお問合わせください。

水野崇

水野 崇(みずの たかし)

水野総合FP事務所代表。東京理科大学理学部応用数学科卒業。
相談、執筆・監修、講演・講師、取材協力、メディア出演など多方面で活動している。
学校法人専門学校東京ビジネス・アカデミー非常勤講師。
テレビ朝日「グッド!モーニング」、BSテレ東「マネーのまなび」などに出演。
NHK土曜ドラマ「3000万」の家計監修を担当。

<資格>1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、証券外務員1種 など

【URL】https://mizunotakashi.com

2025年9月18日現在