【2023年最新版】リフォーム減税の制度を税理士が徹底解説!

近年、マイホームのリフォームを検討する人が多くなっています。「うちもそろそろ」と考えたとき、気になるのは資金面ではないでしょうか。減税制度を利用することができれば、控除を受けることによって出した資金の一部が戻ってくる可能性があります。
そこで今回はリフォームの際に活用できる減税制度を徹底解説します。ぜひ最後までご覧下さい。

リフォーム補助金について気になる方は、「【2022年度最新版】リフォーム・リノベーションの補助金制度をFPが徹底解説!」をご覧ください。

リフォームで減税できる税金の種類・対象の工事

リフォームでは以下の5種類の税金を減額できる可能性があります。

  • 所得税
  • 固定資産税
  • 贈与税
  • 登録免許税
  • 不動産取得税

リフォーム工事にも様々な種類があります。減税制度とリフォームの種類による減税の可否は次の通りです。

項目 所得税の控除 固定資産税の減額 贈与税の非課税措置 登録免許税の特例措置 不動産取得税の特例措置
リフォーム促進税制 住宅ローン減税
耐震
バリアフリー
省エネ
同居対応
長期優良住宅化
上記以外の増改築等工事
  • △、― 項目については、工事内容によって対象となる場合があります。

表の通り、耐震・バリアフリー・省エネは5種類の税金を減額することが可能です。一方で、同居対応・長期優良住宅化は工事内容によっては該当しない場合もあります。

なお、2022年12月に示された「令和5年度税制改正の大綱」によると、リフォーム減税に関する昨年度からの大きな改正点はありませんでした。以下にて税金ごとの減税制度についてご紹介します。

リフォームの減税措置の条件|所得税の場合

まず所得税の減額について説明します。会社員の方は基本的に会社が所得税を源泉徴収しているため、日ごろから所得税を意識することは少ないかもしれません。しかし、リフォームの際に利用可能な減税措置がありますので、要件を満たす場合は積極的に活用しましょう。
所得税の減税措置には以下の2つの制度があります。

  • 住宅ローン減税 (ローンを利用してリフォームを行う場合)
  • 特定のリフォームに対する減税 (自己資金でリフォームを行う場合等)

それぞれ詳しく見ていきましょう。

住宅ローン減税

住宅ローン減税(控除ともいわれます)は、リフォームに際して住宅ローン・リフォームローンを組んだ場合に利用することが可能です。

令和4年度の税制改正により、新築住宅の取得に対するローンに関しては、控除率はそれまでの1%から0.7%に引き下げられたものの、控除期間は最長10年から最長13年へと延長されました。一方、リフォームに対するローンに関しては、控除率が1%から0.7%に引き下げられたのみで、控除期間は10年のまま変更されていません。

居住年 借入限度額 控除率 控除期間
2022年~2025年 2,000万円 0.7% 10年

2022年以降のリフォームにおいては、控除額は「年末時点のローン残高×0.7%」で計算され、控除額の上限は年間14万円となります。この控除は最大10年間受けることができ、控除額の総額は最大140万円となります。

  • リフォームの対象となる住宅が「認定住宅」(認定長期優良住宅または認定低炭素住宅など)の場合、控除対象となる住宅ローン残高等は最大3,000万円となります。

出典:国土交通省「住宅ローン減税制度について

特定のリフォームに対する減税

特定のリフォームに対する減税とは、耐震改修や省エネ改修といった特定のリフォームをする際に受けられる減税制度です。自己資金によるリフォームを行った際、その年の所得税から控除を受けられます。注意したい点は、実際にかかった工事費用ではなく「標準的な工事費用」として国土交通省が定めた金額が基準となる点です。

減税の対象となるリフォームは下記になります。

対象工事 居住年 控除対象限度額 控除率
耐震リフォーム 2022年・2023年* 250万円 10%
バリアフリーリフォーム 2022年・2023年 200万円 10%
省エネリフォーム 2022年・2023年 250万円
(350万円)**
10%
三世代同居リフォーム 2022年・2023年 250万円 10%
耐震リフォーム 又は
省エネリフォームと併せて行う
耐久性向上リフォーム
2022年・2023年 250万円
(350万円)**
10%
耐震リフォーム 及び
省エネリフォーム と併せて行う
耐久性向上リフォーム
2022年・2023年 500万円
(600万円)**
10%
*耐震リフォームの場合、入居年ではなく工事完了年が要件となる
**カッコ内の金額は、省エネリフォームと併せて太陽光発電装置を設置する場合の金額

出典:令和4年度税制改正の大綱

耐震リフォーム

現行の耐震基準に対応するように住宅をリフォームした場合に減税となります。1981年5月31日以前に建築された住宅が対象であり、要件を満たす場合に最大25万円が控除となります。

出典:
国土交通省「リフォーム減税制度に関するよくあるご質問
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「Ⅰ.耐震リフォーム編

  • 2023年2月時点の情報です。今後の法改正等に伴い変更される場合があります。

バリアフリーリフォーム

車いすを利用しやすくするために通路を拡張する・入浴やその介助のために浴室を改良するなど、バリアフリーリフォームをした場合も減税が可能です。

バリアフリーを対象とした所得税額の控除については、「投資型減税」と「ローン型減税」とよばれる形と、既に紹介している「住宅ローン減税」のうちどれか一つが適用となります。
投資型減税では、借入金の有無にかかわらず税込50万円を超えるリフォームを行った場合に最大で20万円が控除となります。

出典:一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会「Ⅱ.バリアフリーリフォーム編

  • 2023年2月時点の情報です。今後の法改正等に伴い変更される場合があります。

省エネリフォーム

断熱改修などの省エネに役立つリフォームを対象としたものであり、バリアフリーリフォームと同様に「住宅ローン減税」「ローン型減税」「投資型減税」のいずれか一つの減税措置を受けることができます。
リフォームを行う箇所や酒類によって上記のいずれが適用可能であるかが変わるため、リフォームの内容が決まった段階で確認すると良いでしょう。投資型減税の場合は、最大25万円(同時に太陽光発電装置を設置する場合は35万円)が控除となります。

出典:一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会「Ⅲ.省エネリフォーム編

  • 2023年2月時点の情報です。今後の法改正等に伴い変更される場合があります。

同居対応リフォーム

三世代同居を前提にキッチンや浴室、トイレなどを増設するリフォームが対象となり、「住宅ローン減税」「ローン型減税」「投資型減税」のいずれか一つの減税措置を受けられます。リフォーム内容により適用可能な制度が変わる点は他の制度と同じです。

出典:
国土交通省「リフォーム減税制度に関するよくあるご質問
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「Ⅳ.同居対応リフォーム編

  • 2023年2月時点の情報です。今後の法改正等に伴い変更される場合があります。

長期優良住宅化リフォーム

建物の耐久性を高めることを目的とするリフォームを対象とするものです。ただし、所得税の減税措置については他のリフォーム工事と併せて行うことが条件となっているため、注意が必要です。

出典:
一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会「Ⅴ.長期優良住宅化リフォーム編

  • 2023年2月時点の情報です。今後の法改正等に伴い変更される場合があります。

リフォームの減税措置の条件|固定資産税の場合

リフォームで固定資産税を減額できるケースもあります。対象となる工事は4種類あり、軽減額は工事の種類によって異なります。

リフォームの種類 軽減額
耐震 固定資産税額の2分の1
バリアフリー 固定資産税額の3分の1
省エネ 固定資産税額の3分の1
長期優良住宅化 固定資産税額の3分の2

減税期間は1年間で、工事完了後3ヶ月以内に申告をしなければいけません。制度の期限は2024年3月31日です。家屋面積の制限や減税の併用ができるものとできないものがあるため、事前に確認しておくとよいでしょう。

耐震リフォーム

現行の耐震基準に適合するリフォームをすれば、翌年度の固定資産税が減額されます。対象の工事費が税込50万円超、1982年1月1日以前から存在する家屋であることなどが条件です。

バリアフリーリフォーム

バリアフリーリフォームは工事内容だけでなく、65歳以上の方や要介護または要支援の認定を受けている方が居住しているなど、居住者についての要件があります。
また、補助金などの額を差し引いたあとの工事費用が50万円を超えていないと適用とならないため注意が必要です。

省エネリフォーム

省エネリフォームの対象となる工事には、給湯器や冷暖房機を高性能なものに変えるものや建物自体に手を加え冷暖房効果を高めエネルギー消費を抑えるもの、ソーラーパネルを設置してエネルギーをつくりだすものなどが挙げられます。また、上記の工事と合わせて窓の断熱工事が必須を行うことが必須の要件となっています。
金額の要件としては、補助金などを差し引いた工事費が税込60万円を超える改修でなければいけません。太陽光発電や空調機、給湯器などの設置も行う場合、それぞれ細かい金額の条件があるため、それぞれの工事にいくらかかるか事前に把握しておきましょう。

長期優良住宅化リフォーム

耐震改修工事または省エネ改修工事を行い長期優良住宅の認定を受けると、固定資産税が減額されます。
また、長期優良住宅化については減税制度だけでなく「長期優良住宅化リフォーム推進事業」などの補助金制度も充実しています。長期優良住宅の認定にあたっては、建物の状況を検査するインスペクションを受けなければいけませんが、こうした費用も補助金の対象となるため、積極的に検討しましょう。

リフォームの減税措置の条件|贈与税の場合

所得税や固定資産税だけでなく贈与税についても非課税措置による優遇を受けられる場合があります。満18歳以上の個人が親や祖父母からリフォームにかかる資金を贈与により受けた場合に一定金額まで贈与税が非課税となります。受贈年が2022年1月から2023年12月までの場合、非課税限度額は「質の高い住宅」(省エネ性・耐震性・バリアフリー性の高い住宅など)であれば1,000万円、それ以外の住宅であれば500万円となります。

リフォームの減税措置の条件|登録免許税の場合

「自分がこの家を所有している」ということを示すために、法務局の登記簿に記録する手続きを登記といい、登録免許税とはこの登記の際にかかる税金を指します。
住宅性能の一定の向上を図るための改修工事が行われた既存住宅を購入し、居住した場合には、家屋の所有権移転登記に対する登録免許税の税率が軽減となります。

リフォームの減税措置の条件|不動産取得税の場合

不動産を取得したときに取得者に対して課される不動産取得税も取得後にリフォームを行うことで減額できる可能性があります。1981年12月31日以前に新築された住宅であり、取得後6ヶ月以内に実施した耐震改修工事によって耐震基準に適合したことを証明されているこことなどが要件となります。

リフォームを減税するときの確定申告の流れ・必要書類

減税の対象となるリフォームを行ったとしても自動的に税金が減額されるわけではありません。一定期間内に必要な手続きを行う必要があります。
まず所得税と贈与税の減税を受けるためには確定申告が必要です。確定申告の際は、税務署に必要書類を提出することになります。
一方で、固定資産税の減税手続きは都道府県・市区町村への申請が必要となりますので、注意してください。
確定申告に必要となる書類の概略は以下のとおりです。リフォーム業者と打ち合わせをしつつ準備していきましょう。

耐震リフォーム

  • 控除額の計算明細書
    • 家屋の持分を共有している方は、それぞれが申告。
  • 補助金等の額が明らかな書類
  • 登記事項証明書
  • 源泉徴収票(給与所得者の場合)
  • 工事請負契約書の写し(耐震リフォームと併せてその他の増改築等工事を行う場合)
  • 増改築等工事証明書(工事完了日が平成29年4月1日以降の場合)又は
    住宅耐震改修証明書(工事完了日が平成29年3月31日までの場合)
    (地方公共団体の長が証明する場合)のいずれか

バリアフリーリフォーム

  • 住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
    • 家屋の持分を共有している方は、それぞれが申告。
  • リフォームローン等の年末残高証明書
  • 登記事項証明書
  • 介護保険の被保険者証の写し等(該当する場合)
  • 補助金等、居宅介護住宅改修費等の額が明らかな書類(交付を受ける場合)
  • 源泉徴収票(給与所得者の場合)
  • 工事請負契約書の写し(バリアフリーリフォームと併せてその他の増改築等工事を行う場合)
  • 増改築等工事証明書

省エネリフォーム

  • 住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
    • 家屋の持分を共有している方は、それぞれが申告。
  • 登記事項証明書
  • 補助金等の額が明らかな書類(交付を受ける場合)
  • 源泉徴収票(給与所得者の場合)
  • 工事請負契約書の写し(省エネリフォームと併わせてその他の増改築等工事を行う場合)
  • 増改築等工事証明書

同居対応リフォーム

  • 住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
    • 家屋の持分を共有している方は、それぞれが申告。
  • 登記事項証明書
  • 補助金等の額が明らかな書類(交付を受ける場合)
  • 源泉徴収票(給与所得者の場合)
  • 工事請負契約書の写し(同居対応リフォームと併せてその他の増改築等工事を行う場合)
  • 増改築等工事証明書

長期優良住宅化リフォーム

  • 住宅特定改修特別税額控除額の計算明細書
    • 家屋の持分を共有している方は、それぞれが申告。
  • 登記事項証明書
  • 長期優良住宅の認定通知書の写し
  • 補助金等の額が明らかな書類(交付を受ける場合)
  • 源泉徴収票(給与所得者の場合)
  • 工事請負契約書の写し(長期優良住宅化リフォームと併わせてその他の増改築等工事を行った場合)
  • 増改築等工事証明書

リフォーム補助金について気になる方は、「【2022年度最新版】リフォーム・リノベーションの補助金制度をFPが徹底解説!」をご覧ください。

リフォームの減税は併用できる?

リフォームの減税は併用可能です。併用の組み合わせは表の通りです。所得税と固定資産税に分けて記載します。

所得税 固定資産税
リフォーム促進税制 住宅ローン控除
耐震 バリアフリー 省エネ 同居対応 長期優良住宅化 耐震 バリアフリー 省エネ 長期優良住宅化
所得税 リフォーム促進税制 耐震 ×
バリアフリー ×
省エネ × ×
同居対応 ×
長期優良住宅化 × × ×
住宅ローン減税 × × × ×

固定資産税に関する併用は以下の表の通りです。

所得税 固定資産税
リフォーム促進税制 住宅ローン控除
耐震 バリアフリー 省エネ 同居対応 長期優良住宅化 耐震 バリアフリー 省エネ 長期優良住宅化
固定資産税 耐震 × × ×
バリアフリー × ×
省エネ × ×
長期優良住宅化 × × ×

所得税の耐震と長期優良住宅化、同居対応と住宅ローン減税など併用できないものが多くあります。事前に工事内容や併用の可否を確認し、減税制度を最大限活用できるようにしましょう。

上手に非課税制度を利用しよう

本記事では、リフォームの際に活用できる減税制度を徹底解説しました。税金は身近なものですが、リフォームを経験することは多くはないため、分からないことが多い方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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安井 貴生(やすいたかお)

税理士、藤和税理士法人パートナー

税理士業界で20年超の経験があり中小企業~100億円を 超える企業まで多くの法人を担当してきた。法人の税務を得意としているが、M&Aや国際税務、相続などの案件も数多く手がけている。相続コラムの執筆や、納税協会における経理担当者向けのセミナー講師など幅広く活躍中。

2023年11月1日現在

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