NISAの口座変更・金融機関変更のタイミング、メリット・デメリットとは

NISA(少額投資非課税制度)は、税金の負担を軽減しつつ、少額から投資を行える税制優遇制度です。
株式や投資信託の配当金や分配金、値上がりで得られた売却益が非課税になります。そのため、教育資金や老後資金など将来の目的に向けた資産形成の手段として、幅広い方に利用されている制度です。
しかし、ライフステージの変化や投資方針の見直しなどにより、NISA口座をほかの金融機関に変更したいと考える方もいらっしゃるでしょう。本記事では、あらかじめ知っておくべきポイントや手続きの方法について詳しく解説します。
NISA口座変更・金融機関変更前に知っておくべきこと
NISA口座を新たな金融機関に変更する前に、把握しておきたいことがあります。具体的には以下の5つです。
- 1人1口座しか開設できない
- 金融商品を購入すると年内の口座変更はできない
- 同じ年に投資枠は再利用できない
- NISA口座変更は1年に1回しかできない
- 購入商品の移管はできない
ここでは口座変更を金融機関変更と解釈し、それぞれについて詳しく解説します。
金融庁「NISAについて|NISAを知る」」
1人1口座しか開設できない
NISA口座は、金融機関を変更したケースを除き、すべての金融機関において、同一年に1人1口座しか開設できません。つみたて投資枠と成長投資枠をそれぞれ別の金融機関で利用することも不可能です。
基本的にNISA口座の開設時には、税務署によって重複口座が存在していないかどうかの審査が行われます。そのため、複数の金融機関で開設した場合、最初に申し込んだNISA口座以外は税務署の審査で不承認となります。
同一年に複数の金融機関でNISA口座を開設したいと考えている方は、制度の仕組み上、不可能である点を認識しておきましょう。
金融商品を購入すると年内の口座変更はできない
金融機関変更をしたいと思っている年の1月1日以降に、変更前のNISA口座で1回でも金融商品を購入すると、その年には金融機関変更ができなくなります。
この場合、切り替えができるのは早くても翌年以降です。例えば、2025年4月に商品を購入しているのであれば、最短で2026年分からということです。そのため、金融機関変更を希望する際には、商品を購入するタイミングに気をつけなければなりません。
投資信託などの積立設定や再投資設定をしているのなら、自動的に引き落としがされないよう、あらかじめその設定を解除しておく必要があります。
同じ年に投資枠は再利用できない
NISAの年間投資枠の上限金額は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円です。その年に購入した分を同じ年に売却しても、それぞれの年間投資枠は復活しないため、再利用することはできません。
例えば、2025年4月に100万円分の金融商品を成長投資枠で購入して、6月にすべて売却した場合、2026年を迎えるまでの残り6ヶ月間に成長投資枠で利用できる年間投資枠は240万円ではなく、140万円となります。
NISA口座変更は1年に1回しかできない
金融機関変更は、1年に1回しか行えません。これは制度で定められているルールです。その年にすでに金融機関変更をしてしまったという場合、新たな金融機関に切り替えるには次の年まで待たなければなりません。
詳細は後述しますが、金融機関を変更する際は、変更前と変更後の金融機関双方から書類を取り寄せ、申請を進める必要があります。手続きは条件によってタイミングが異なり、一定の期間もかかるため、スケジュールの確認や調整が欠かせません。
購入商品の移管はできない
変更前のNISA口座で保有していた商品を、変更後の金融機関のNISA口座へ移管することはできません。そのため、変更前の口座で保有している資産をどのように扱うかについて、事前に決めておく必要があります。
例えば、変更前の口座で保有している金融商品を売却し、変更先のNISA口座の金融商品の購入資金として利用することもできます。購入したときよりも値上がりしたタイミングで売却できれば、値上がり益が非課税となるNISAのメリットが享受できます。
NISA口座を変更した後も売却しないのであれば、変更前の金融機関で引き続き配当金や売買益などの非課税優遇を受けながら保有することも可能です。ただし、口座数が増えることにより確認や管理などが煩雑になる点、変更前のNISA口座では新規の購入ができない点に留意しましょう。
日本証券業協会「2024年以降のNISAに関するQ&A」
NISA口座変更のタイミング
手続きをするタイミングは、その年に金融商品を購入しているか、していないかによって異なります。
すでに購入している場合、金融機関変更ができるのは翌年からとなり、変更したい年の前年10月1日から当年の9月30日までが申請期間です。例えば、2026年から変更したいのであれば、2025年10月1日から2026年9月30日までがそのタイミングとなります。
一方購入していない場合、タイミングはいつでもかまいません。ただし、年内に金融機関を変更したいのであれば、その年の9月30日までに手続きを終わらせる必要があります(10〜12月の手続きは翌年分の変更受付期間となります)。
変更に要する期間は金融機関によって差があるものの、一般的には申込み後2週間から1カ月程度が目安となります。
NISA口座変更・金融機関変更の方法
希望する金融機関にNISA口座を変更する際は、主に以下の3つの手順で行います。
- 1「金融商品取引業者等変更届出書」を変更前金融機関に提出
- 2「廃止通知書」を変更前金融機関から受け取る
- 3「非課税口座開設届出書」と廃止通知書を変更先の金融機関に提出
スムーズに進められるよう、あらかじめ基本的な流れを把握しておきましょう。
「金融商品取引業者等変更届出書」を変更前金融機関に提出
はじめに、変更前の金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」を提出します。この書類は、店頭や電話での申込み、公式ウェブサイト上でのダウンロードなどを通して入手することが可能です。受け取り次第、記入例や案内文に従って必要事項を記入しましょう。
届出書の提出時には、マイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類の同封を求められることがほとんどです。金融機関から指定された書類が揃っていないと、再度書類の送付が求められるケースもあるため、必ず内容を確認してから提出しましょう。
変更前金融機関から廃止通知書を受け取る
届出書を提出すると、変更前の金融機関から「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」が発行されます。
「勘定廃止通知書」は、変更前の金融機関で金融商品を保有している方が対象の書類です。通知書によって、変更前の金融機関で非課税の状態で保有を続けられます。変更前のNISA口座で新規の購入はできなくなりますが、保有している資産の配当金や売却益は引き続き非課税となります。
一方で、「非課税口座廃止通知書」は、変更前の金融機関でのNISA口座を完全に廃止することを示すものです。NISA口座に保有商品がない、もしくは保有していた商品を課税口座に移管する方が対象です。
「非課税口座開設届出書」と廃止通知書を変更先の金融機関に提出
最後に変更先の金融機関へ、「非課税口座開設届出書」と「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を一緒に提出します。
変更先のNISA口座の開設を申請すると、金融機関から「非課税口座開設届出書」が発行されます。記入例や案内文に従って必要事項を記入したのち、提出します。
手続きには、変更前の金融機関で発行されたどちらかの廃止通知書も必要です。本人確認書類の提出を求められる場合もありますので、変更先の金融機関から指定された必要書類一式を不備なく提出しましょう。
必要書類提出後、金融機関と税務署にて審査が行われ、承認されれば変更先の金融機関でNISA口座の開設が完了します。
NISA口座変更のメリット
NISA口座を変更するメリットは、変更前と比べて選べるファンドの幅が広がったり、資産運用をする際の利便性が高まったりする可能性があることです。
つみたて投資枠では投資信託、成長投資枠では上場株式や投資信託などが投資対象となりますが、金融機関によってファンドのラインナップは異なります。
幅広いファンドを取り揃えている金融機関に切り替えると、自分の投資スタイルや目的に適した投資対象を選びやすくなります。
また、金融機関によって手数料の設定もさまざまです。仮に取引手数料などが下がれば、それまでと比べて運用コストを抑えられます。ウェブサイトの操作性が高い、アプリで取引ができるといったケースなら、以前よりもNISA口座の管理が容易になるでしょう。
NISA口座変更のデメリット
NISA口座を変更する際は、いくつかのデメリットがある点にも留意しておきましょう。
先述したように、変更前の金融機関で保有していた金融商品を新たなNISA口座に移管することはできません。一般的には、変更前のNISA口座でそのまま保有し続ける、もしくは一度売却し現金化して新たなNISA口座で買い直しをすることになります。売却するのならタイミングの見極め、保有し続けるのなら複数の口座の管理が必要です。
また、NISA口座の変更は希望したらすぐに完了するわけではなく、2週間から1カ月程度の時間がかかります。一定期間は新たなNISA口座での取引ができないため、金融商品の購入や売却などの機会を逃してしまう可能性もあります。
NISAの口座変更を実行する際は、こういった内容を考慮したうえで、計画的に進めることが大切です。
NISA口座変更・金融機関変更は計画的に行おう
NISA口座と金融機関変更は、変更前と変更後の金融機関から書類を取り寄せ、両方の金融機関に書類を提出して手続きを進めます。
変更前のNISA口座で金融商品を購入しているかなど、それぞれの条件によって申請できるタイミングが異なるため、事前にスケジュールを調整しておくと安心です。
金融機関変更は資産運用や管理方法の選択肢が広がる可能性がある一方で、いくつかのデメリットも存在します。詳細を理解したうえで、慎重かつ計画的に手続きを行いましょう。
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2025年3月14日現在