事業承継型M&Aって何?メリット/デメリット/仕組みを解説

事業承継型M&Aとは

M&A(エムアンドエー)とは、Mergers(合併)and Acquisitions(買収)の略です。複数の企業を一つの企業に統合する事(合併)や、ある企業が他の企業の株式や事業を買い取ったりする事(買収)をいいます。「親族内で後継者がいない」「MBO(従業員承継)が難しい」という状況の場合、適正な承継先を外部に求めることで事業を継続することが出来ます。

事業承継型M&Aのメリット

従業員の雇用維持につながる

事業承継を考える際に、長年一緒に働いてきた従業員の雇用維持は重要項目の一つです。後継者不在という理由で、もし廃業という結論になってしまうと、従業員は職を失う可能性もあります。M&Aを通じて新たな後継者に引き継いでもらうことで、従業員雇用の維持に繋がります。会社を守ることは、その会社で働く従業員並びにその家族の生活を守ることでもあります。

従業員のスキルアップにつながる場合がある

今までとは違う観点を持って事業拡大にむけた経営手法をとることで、売り上げが向上する可能性もあります。M&Aによる新経営陣が、財務や営業に精通したプロならば、業務改善にかかわる従業員にとってスキルアップの機会が増加します。よって、M&A前の手法とは違った従業員の教育環境が自然と整うことにつながります。

事業拡大のための投資が進む

M&Aは自社よりも事業規模が大きい会社と資本提携することがあります。資金不足などの問題で、自社だけでは実現できなかったビジネスへと発展できるかもしれません。また、事業規模が大きい会社と資本提携することで、アクションの幅が拡がり、市場の変化にも対応できるようになります。グループ内での資本を使いながら設備投資や事業投資ができるので、資金面で力強いサポートを受けながら、安心して事業拡大に力を注げます。

優秀な人材の採用機会が増える

M&Aを実施し、上場会社等と資本提携した場合、提携先のネームバリューが優秀な人材の採用に繋がる場合があります。優秀な人材を確保できれば、会社の発展にもつながる大きなメリットを生みます。

従業員の福利厚生が良くなることもある

M&Aによって、資本提携した会社の魅力的な福利厚生も使用できれば、従業員は安心して仕事できるはずです。充実した福利厚生は求人募集の時に企業の魅力となるので、より多くの人材に自社への応募を検討してもらえるようになります。

親族内承継、MBOができない場合の選択肢

経営者の中には、自社のことを深く理解してくれている人物へ経営権を委ねたいと考えている方も多くいらっしゃいます。しかし、その中に安心して任せられる、適した後継者がいないということもあり得るでしょう。そのような場合にも、M&Aは代替案として選択肢の一つになります。

創業者の利潤が確保できる

後継者が見つからずに廃業せざるを得なかった場合、思わぬ負債が手元に残ってしまう場合があります。
M&Aを実施した際に、どれぐらいの資金が入ってくるのかは、当然ながら状況によって変わってきますが、創業者としての利潤を得られる可能性があります。

事業承継型M&Aのデメリット

ここまで事業承継型M&Aのメリットを紹介してきましたが、当然ながらデメリットも存在します。下記に想定できるデメリットを記載します。

いい会社とめぐり合えるかどうか

自社に今まで関与していなかった会社や人物に経営権を譲渡する形になるので、慎重にM&Aの相手を選択しなければなりません。自身の事業とシナジー効果が見込める会社とマッチングできるかどうかが重要です。
また、経営者が高齢になればなるほど相手先の会社を探す時間が短くなることが考えられます。自社の条件や価値観のあった、納得のいく会社をみつけることは時間との戦いとも言えるでしょう。

今まで育てた会社を、第三者に渡すと決断できるかどうか

経営者にとって自身の会社は、子どものような存在です。自分が大切に育ててきた会社を、他人へ譲渡することへの心理的抵抗感を感じてしまう方もいるでしょう。自身の会社に尽くしてきた従業員やエンドユーザーなど、すべてのステークホルダーのことを、また会社の未来を考えた時に最善の一手がM&Aという結論になったとしても、第三者へ渡す決断をできるかどうかは難しいことと言わざるを得ません。

事業承継のお悩みや相談はちば興銀へ

オーナー会社の経営者にとって、事業承継は会社の成長にひけをとらない重要な経営課題です。親族内承継は周囲の理解を得やすい点や法律的な点でも、比較的スムーズに進めやすいといえますが、ひとつ間違えると人間関係が悪化するなど注意を要する場面もあります。また、税制などのしくみは複雑で、自分で判断するのは大変という場合もあるでしょう。ちば興銀では事業承継のさまざまなご相談に応じるサポート体制を整え、経営者の方の不安を解消するお手伝いをしています。事業承継の鉄則は現経営者が元気なうちに始めることです。

陣内 壮(じんのうち そう)

陣内 壮(じんのうち そう)

生年月日:1991年3月20日
資格:中小企業診断士、MBA(経営管理修士)
明治大学経営学部を卒業後、中小企業診断士及びMBA(経営管理修士)を取得。 資格取得後は、大手企業中心とした支援に従事