CSR(企業の社会的責任)

気候変動・生物多様性への取組み

気候変動や生物多様性の喪失が、お客さまや当行グループへ大きな影響を及ぼすと考え、リスクや機会などの情報を適切に開示してまいります。

気候変動への取組み

気候変動に起因する異常気象の発生により甚大な被害が発生している状況を踏まえ、TCFD提言の枠組み(「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標および目標」)に基づき、開示内容の拡充、体制整備の取組み等、適切に対応してまいります。

ガバナンス

当行グループは、サステナビリティにおけるガバナンス体制を、「サステナビリティへの取組みに関する方針・ガイドライン」および「サステナビリティ推進体制」の両面により、地域の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄に貢献すべく、サステナビリティを経営戦略の重要事項の一つとして取り組んでおります。

サステナビリティへの取組みに関する方針・ガイドライン

当行グループは、企業理念である「地域とともに 
お客さまのために 『親切』の心で」およびパーパスである「いちばん近くで、いちばん先まで。千のしあわせを、興そう。」のもと、グループ一体でのサステナビリティ経営を推進するために、サステナビリティ関連規程類体系を構築し、各種方針・ガイドラインを制定しております。

<サステナビリティ関連規程類体系図>

サステナビリティ推進体制

当行グループにおけるサステナビリティへの取組みについて、執行は取締役頭取を委員長とするサステナビリティ推進委員会での審議・決定を中心とし、取締役会へ
定期的に報告を行うことによりガバナンス体制を構築しております。執行における体制として、サステナビリティ推進委員会の下部組織として当行グループの幅広い
環境保全取組みを管理・推進するecoアクション部会をはじめ、本部関係各部や営業店、関係会社が連携することによって、サステナビリティ推進を行っております。

【2024年度サステナビリティ推進委員会開催
状況】

回数
(開催日)
主な審議及び報告事項
第10回委員会
(2024年5月20日)
非財務情報の開示内容および明治安田生命保険相互会社との連携協定締結について報告
第11回委員会
(2024年9月9日)
お取引先へのエンゲージメント取組検討およびTNFD提言への賛同を審議
第12回委員会
(2024年12月2日)
マテリアリティ見直しに係る骨子を審議
第13回委員会
(2024年12月9日)
千葉市環境局環境保全部による勉強会を実施
第14回委員会
(2025年2月17日)
マテリアリティおよびKPIの見直し案を審議
第15回委員会
(2025年3月24日)
自然資本開示の方向性および次年度取組事項を審議
<体制図>

サステナビリティリテラシー向上に向けた取組み

サステナビリティ推進委員会の様子

当行の役員におけるサステナビリティリテラシー向上を目的として、外部有識者を招聘し勉強会を実施しております。
2024年度は千葉市環境局環境保全部の方々をお招きして、脱炭素や生物多様性にかかる取組状況などをテーマに勉強会を開催し、有意義な意見交換を行いました。
引き続き、役員だけでなく当行グループ全体のサステナビリティリテラシー向上を目指し、取り組んでまいります。

役員報酬におけるサステナビリティ要素の追加

役員の気候関連の課題への取組みに関するインセンティブの強化が中長期的な企業価値向上に繋がるとの認識のもと、サステナビリティKPIのうち気候変動にかかるKPIの達成状況に応じて金銭で支給する業績連動報酬の評価体系に組込んでおります。
気候関連のKPIとしては、サステナブルファイナンスの実行額やCO2排出量削減を選定しております。

戦略

リスクと機会の認識について

当行は、持続可能な社会の実現に向けた気候変動への対応としてリスク(移行リスク、物理的リスク)および機会の両面として捉え、短期(5年)、中期(10年)、長期(30年)の時間軸に基づき、以下の通り認識しております。

分類 種類 内容 時間軸
移行リスク 政策・法規制
  • 気候変動に関する政策や規制の強化による、お客さまの事業への影響に伴う与信コストの増大
中期~
長期
技術・市場
  • 気候変動に起因する市場の変化により、資金調達が困難になる、
    ないし調達コストの上昇
中期~
長期
  • 脱炭素社会への移行に伴う新たな技術等の導入や産業構造の変化に
    よる既存資産等の現存や
    収益悪化
評判
  • 炭素排出セクターに対する投融資継続によるレピュテーション悪化
短期~
長期
物理的リスク 急性
慢性
  • 台風・豪雨による風水災に伴うお客さまの事業停滞による業績悪化
    影響及び担保価値の毀損を通じた与信コストの増大
短期~
長期
  • 異常気象等による当行資産の毀損に伴う事業継続への影響、
    管理コストの増加
  • 海面上昇によるお客さまおよび当行の営業拠点被災に伴う損失の発生
長期
機会 商品・サービス
  • 気候変動に関するサステナビリティへの取組みに対する
    コンサルティングやファイナンスに
    よる支援の増加
短期~
長期
資源効率化
  • 省資源、省エネ、再生可能エネルギーの活用による事業コストの低下
短期~
長期

リスク

【シナリオ分析の実施】

TCFD提言に基づく一定のシナリオのもと、
低炭素経済への移行に伴いCO2排出量の多い金融資産の再評価によりもたらされる移行リスク、
および気候変動による洪水リスクの影響によりもたらされる物理的リスクについてシナリオ分析を実施いたしました。

【移行リスク】

  • 分析対象としてCO2排出量が比較的多いセクターである、エネルギー(電力、ガス、石炭・石油)セクター、素材(鉄鋼、化学)セクター、運輸セクターを特定いたしました。
  • リスク重要度評価、事業インパクト評価を行い、
    大規模企業、上場企業については個社別分析を実施(ボトムアップアプローチ)し、その他の事業計画・財務等の
    多くの情報が得られない先は拡大推計(トップダウン・アプローチ)し、評価いたしました。
項目 概要
リスクイベント
  • 炭素税導入による費用増加
  • 脱炭素社会への移行に伴う設備投資、研究開発費の増加
  • 再生可能エネルギーへの転換に伴う市場影響
  • 脱炭素社会への転換に伴う需要の変化など
シナリオ NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)のシナリオのうち、
Net Zero 2050・Below 2℃シナリオ
  • NetZero2050:厳しい気候政策等により2050年にネットゼロを達成する
    シナリオ(1.5℃未満シナリオ)
  • Below2℃:やや厳しい政策が導入され、温暖化を2℃以下に抑える
    シナリオ(2℃以下シナリオ)
分析手法
  • ボトムアップアプローチ:個社別に2050年までの財務内容を推計
  • トップダウンアプローチ:個社別分析の結果をもとに利益率やコスト率の平均をベースに推計
分析対象 エネルギー(電気、ガス、石炭・石油)セクター、素材(鉄鋼、化学)セクター、運輸セクター
分析期間 2025年3月末を基準として2050年まで
分析結果 与信関係費用:累計40億円~50億円

【物理的リスク】

  • 融資先の所在地や担保所在地について、ハザードマップ(想定最大規模と計画規模)と結合して複数確率年洪水の考慮を行い、当該災害発生時の債務者区分に与える
    影響(債務者区分影響)と保全に与える影響(保全影響)の分析を行いました。
  • 債務者区分影響は、企業が保有する建物や有形固定資産の被害額(直接被害額)と営業停止に伴う被害額(間接被害額)を推計、企業の財務内容等に与える影響を
    算出、債務者区分を付与し引当の増加額を算出いたしました。保全影響は、建物等の担保棄損による引当の増加額を算出いたしました。
  • 算出した引当の増加額を2050年までに発生する
    確率と気候変動による洪水頻度の増加を考慮し、
    複数シナリオでの引当増加額を算出いたしました。
  • また、同様に当行本支店の洪水による固定資産の毀損についても推計を行いました。
項目 概要
リスクイベント 洪水による
①融資先の事業の中断や事業拠点の直接被害に伴う財務内容の悪化
②担保物件の毀損
③当行本支店の資産の毀損
シナリオ IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によるRCP(代表的濃度経路)シナリオ
(RCP1.9:1.5℃シナリオ、RCP:2℃シナリオ、RCP8.5:4℃シナリオ)
分析手法
  • ハザードマップのデータ(想定最大規模、計画規模)から洪水発生時の取引先の直接被害額と
    間接被害額から財務への影響と
    担保(保全)への影響を算出したうえで、シナリオを踏まえ
    推計した2050年までの洪水発生確率・洪水頻度の増加を勘案し、
    与信関係費用の増加額を算出
  • 当行本支店については建物被害額を算出。
分析対象 貸出のある国内法人・個人事業主・住宅ローン(プロパーのみ)、特定貸付債権、当行本支店の固定資産
分析期間 2025年3月末を基準として2050年まで
分析結果 与信関係費用:8億円~10億円、当行本支店被害額:最大2億円

【シナリオ分析の結果】

今回の分析対象やシナリオの前提条件のもと、移行リスクでは与信関係費用が累計で40億円~50億円、物理的リスクでは与信関係費用が8億円~10億円、当行本支店の資産の毀損は最大2億円となり、ポートフォリオ全体への影響は限定的であるとの結果となりました。
引き続き対象セクターの拡大など充実化へ取り組んでまいります。

炭素関連資産

当行の与信残高に占める炭素関連資産の割合は43.05%であります。
なお、当行与信残高に占めるセクター毎の割合は以下のとおりであります。
引き続きセクター分類の精緻化へ取り組んでまいります。

  • TCFD提言における開示推奨対象の全18セクターに分類し、2025年3月末の貸出金、支払承諾、外国為替、銀行保証付私募債の合計を基に算出しております(再生可能エネルギー発電事業として太陽光発電事業を除く)。
    セクターの分類方法につきましては、日本銀行が制定した「業種分類一覧表」の分類を基に、当行が判定いたしました。
セクター 炭素関連資産(%)
エネルギー 0.82
石油・ガス 0.67
石炭 --
電力 0.15
運輸 2.68
航空貨物輸送 1.37
航空旅客輸送 --
海運 0.01
鉄道輸送 0.89
トラックサービス 0.23
自動車、部品 0.18
素材・建築物 34.29
化学品 0.82
建材 0.46
金属、鉱業 1.62
資本財(建材等) 1.71
不動産管理、開発 29.68
農業、食料、林産物 5.26
包装食品・肉 4.74
飲料 --
農業 0.26
紙、林産物 0.26
炭素関連資産合計 43.05

機会

【当行グループのサステナビリティ支援ソリューション】

当行グループは、地域とお客さまの環境負荷低減と脱炭素経営実現へ向けた取組みに積極的に関与することにより、環境や社会の課題解決に貢献するとともに、
持続可能な社会実現と企業価値向上を図ってまいります。
また、脱炭素社会への移行に伴い、お客さまの資金需要に対するファイナンスの提供やコンサルティング等ソリューションの提供を通じて脱炭素社会の実現に取組んでまいります。今後、より多くのビジネス機会を創出するため、お客様のCO2排出量の削減やエネルギー効率の向上に向けた取組みの支援等、脱炭素化を支援するサービスを充実させてまいります。

お客さまのニーズ
サステナビリティに向けた
実効的な取り組みを
始めたい
脱炭素に向けた課題把握や目標設定を
行いたい
SDGsに関する取り組みを始めたい
当行グループのソリューションラインナップ
サステナブル
ファイナンスの
提供
  • ポジティブ・インパクト・ファイナンス
  • サステナビリティ・リンク・ローン
お取引のCO2排出量可視化、
目標設定
  • CO2排出量算定支援
  • SBT認証支援
SDGsに関する取組み支援
  • ちばSDGsパートナー
    登録推進

【お客さまとのサステナビリティ経営に向けたエンゲージメント活動の実施】

当行は、お客さまとのエンゲージメント向上の一環として「サステナビリティ経営に関するアンケート」を2024年度に初めて実施いたしました。
本アンケートでは、サステナビリティに関する取組状況をはじめ、CO2排出量の計測状況や脱炭素に向けた削減取組状況、従業員の健康に関する取組状況などをご回答いただきました。
今回のアンケート結果を受けて、お客さまのサステナビリティに関する課題解決につなげていくとともに、より一層のエンゲージメントの向上につなげてまいります。

リスク管理

地域の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄にあたって、気候変動の影響や生物多様性の喪失、健康への影響などをはじめとする様々なリスクがあると認識しております。
中でも気候変動リスクは、地球環境や地域経済のみならず、当行グループの経営戦略や財務計画に大きな影響を与えるリスクとして、新たなリスクカテゴリーでは
なく、従来から把握・管理されていた既存のリスクカテゴリーにおけるリスクを発生・増幅させる「リスクドライバー」として認識しております。
また、気候変動に起因するリスクを大きく「移行リスク」と「物理的リスク」に分類し、信用リスク管理やオペレーショナルリスク管理などにおける分析結果などを
サステナビリティ推進委員会とリスク管理委員会において共有し、リスク管理の高度化を図ってまいります。

環境・社会への影響を鑑み、積極的に投融資を行う事業ないし原則投融資を行わない事業に関しては、「投融資ポリシー」を定め、これを公表しております。ポリシーに基づいた責任ある投融資を通じ、地域金融機関として、環境・社会的課題の解決に取り組むお客さまとともに、持続可能な社会の実現に努めてまいります。

指標および目標

サステナブルファイナンス

当行では、地域の環境保全および経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄に貢献することを目的とするファイナンスを「サステナブルファイナンス」と定義し、推進しております。

【サステナブルファイナンスの主な商品】

  • 「サステナビリティ・リンク・ボンド」や「グリーンローン」など、国際原則・政府の指針を基準としたローン商品や債券
  • お客さまのSDGs達成に向けた取組支援を行うローン商品
  • SDGsの取組みに寄与する私募債の引受
  • 環境負荷低減をはじめとした、地域振興や人材育成など地域の持続的な発展・繁栄に貢献する融資 等
    • 上記以外の商品も含みます。

サステナブルファイナンスの実行額目標および実績は以下のとおりであります。

目標達成年度 累計実行額目標 実績
FY2022 FY2023 FY2024
FY2027 1.0兆円以上 1,416億円
(うち環境系105億円)
4,302億円
(うち環境系330億円)
7,311億円
(うち環境系502億円)
うち環境系2,000億円以上
FY2030 1.5兆円以上
うち環境系4,000億円以上
  • うち環境系は、サステナブルファイナンスのうち環境に資する投融資の実行額を集計しております。

CO2排出量の削減

【カーボンニュートラルに向けたCO2排出量削減状況】

地域とともに存続・発展する地域金融機関の社会的責任として、「2040年度までにカーボンニュートラル(対象はScope1+2)の実現」という長期的な目標を掲げ、脱炭素に向けて取り組んでおります。
2024年度は削減率が2019年度比約49%となり、2024年度までの中期経営計画に基づく削減目標(20%削減)は達成しております。

[Scope1,2の排出量]
(単位:t-CO2)
CO2排出量 FY2019 FY2020 FY2021 FY2022 FY2023 FY2024
Scope1 847 843 825 725 659 624
Scope2 3,555 3,347 3,169 2,953 2,468 2,560
  • エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)に基づく定期報告書におけるScope1,2のCO2排出量となります。
  • Scope2の合計値は、マーケット基準にて算出し、非化石証書購入による吸収量控除前の実績であります。
[FY2024 CO2排出量実績]
(単位:t-CO2)
CO2排出量 FY2024
Scope1 624
Scope2 ロケーション基準 2,616
マーケット
基準
2,560
Scope3 4,697,331
合計(Scope1+2+3) 4,700,515
  • Scope2排出量は、非化石証書購入による吸収量控除前の実績であります。
  • 合計のScope2は、マーケット基準にて算定しております。

【Scope3の算定状況】

脱炭素を進めていくにあたっては、サプライチェーン全体の排出量であるScope3の算定も重要であると認識しており、当行グループ全体での算定を行っております。
今後も算定対象範囲の拡大や排出量把握の精緻化に努めていくとともに、サプライヤーと協力した脱炭素の取組みを進め、社会全体のカーボンニュートラル達成に貢献してまいります。

[Scope3排出量]
(単位:t-CO2)
カテゴリ 計測項目 FY2024
1(購入した製品・サービス) 物品などを購入したもの 10,142
2(資本財) 新たに購入した設備など 1,729
3(燃料及びエネルギー関連活動) ガソリン、電気以外の燃料消費 543
4(上流の物流) 郵送によるものなど 46
5(事業から出る廃棄物) 廃棄物として計上 379
6(出張) 行員の出張費用 91
7(雇用者の通勤) 行員の通勤費(電車・車) 727
12(販売した製品の廃棄) 現状は通帳の廃棄量にて計上 1
13(リース下流) リースで賃貸している製品の使用量 5,722
15(投融資) 投融資先の排出量 4,677,951
[カテゴリ15投融資(ファイナンスドエミッション)]
投融資を通じた間接的な温室効果ガス排出量は、金融機関におけるScope3の中でも大きな割合を占めるため、PCAFスタンダードの計測手法に則り、2025年3月末時点における当行の国内法人向け貸出について試算いたしました。
エネルギー 運輸 素材・建築物 農業、食料、林産物 その他 合計
電力 石炭 石油・
ガス
航空貨物
輸送
航空旅客
輸送
海運 鉄道輸送 トラック
サービス
自動車、
部品
金属、
鉱業
化学品 建材 資本財
(建材等)
不動産管理、開発 飲料 農業 包装食品・肉 紙、
林産物
Financed Emissions(Mt-CO2)
Scope1,2 0.06 -- 0.12 0.33 -- 0.00 0.01 0.02 0.00 0.28 0.06 0.02 0.03 0.05 -- 0.05 0.09 0.02 0.19 1.33
Scope3 0.08 -- 0.33 0.09 -- 0.00 0.01 0.01 0.05 0.32 0.09 0.06 0.34 0.68 -- 0.02 0.42 0.02 0.80 3.35
データ クオリティ スコア(※)
Scope1,2 3.17 -- 1.92 3.66 -- 4.00 1.96 4.00 2.07 3.25 3.24 3.80 3.83 3.76 -- 4.00 3.68 2.83 3.56 3.61
Scope3 3.31 -- 2.76 3.69 -- 4.00 2.90 4.00 2.21 3.25 3.53 3.89 3.85 3.77 -- 4.00 3.69 3.47 3.72 3.70
算定対象貸出残高(億円)
Scope1,2,3 37 -- 137 324 -- 3 205 53 43 381 199 108 397 6,164 -- 39 1,056 62 4,191 13,399
件数
Scope1,2,3 23 0 24 404 0 4 15 92 16 216 44 112 902 2,930 0 57 1,101 46 3,084 9,070
算定カバー率(各セクターのGHG排出量算定対象貸出残高/各セクターの貸出残高)
Scope1,2,3 98.4% -- 100.0% 100.0% -- 100.0% 95.5% 98.6% 100.0% 100.0% 100.0% 100.0% 99.9% 99.4% -- 99.0% 98.6% 100.0% 99.1% 99.2%
  • データ・クオリティ・スコア
    データ クオリティ スコアは、ファイナンスド エミッションにおけるCO2排出量データの品質を5段階で示した数値であり、1に近いほど品質が高く、5に近いほど推計値を多く使用しているものになります。
[データ クオリティ スコアの定義]
スコア 分類 概要
1 開示情報 企業開示の排出量データ(第三者機関認証あり)
2 企業開示の排出量データ(第三者機関認証なし)
推計情報 物理活動ベース 企業のエネルギー消費量と排出係数に基づく推計の排出量データ
3 企業の生産量と排出係数に基づく推計の排出量データ
4 財務指標ベース 企業の売上高と排出係数に基づく推計の排出量データ
5 企業への投融資残高と排出係数に基づく推計の排出量データ
  • TCFD提言における開示推奨セクター等を参考に分類しております。また、財務データ不足先は算定不可としております。
  • PCAFスタンダードに基づく算定を実施し、企業開示データ等を活用しております。データが得られない場合は、PCAFデータベースから引用した排出係数等を用いて推計しております。
    なお、PCAFデータベースにはScope3下流の排出係数が含まれておりません。
  • Financed Emissions=帰属係数×投融資先のCO2排出量(帰属係数…投融資額÷資金調達総額(上場企業は現金を含む企業価値(EVIC)、非上場企業は各取引先の負債+資本))
    お客さまのCO2排出量の開示拡大やPCAF算定基準や業種分類の変更、算定対象の拡大等により、算定結果は今後大きく変更される可能性があります。引き続き算定方法の精緻化へ取り組んでまいります。

第三者検証の実施

CO2排出量の計測・開示にあたり数値の信頼性を確保するため、一般社団法人 日本品質保証機構による第三者検証を実施しております。

第三者検証報告書(FY2023) [PDF:811KB]

今後も、第三者機関による検証を継続し、信頼性の高い情報開示を行ってまいります。

CDPへの取組み

当行は、CDP(※)による2024年度の気候変動に関する調査において「A-」スコアの評価を受けました。
昨年度は「B」スコアであったため、1ランクアップとなっております。

  • 2000年に設立されたロンドンに本部を置く非営利団体。運用資産総額142兆米ドルを超える700以上の投資家と協力して、企業や自治体に対して情報開示を求め、
    世界の時価総額の3分の2を占める23,000社以上の企業が情報開示を行っております。

省エネ・地域パートナーシップ

当行は、省エネ・地域パートナーシップにパートナー金融機関として参加しています。
省エネ・地域パートナーシップとは、地域で中小企業等の省エネを支援する体制を構築するため、資源エネルギー庁が立ち上げた枠組みで、200を超える金融機関や省エネ支援機関が、パートナー機関として参加しています。

気候変動対応を支援するための資金供給オペレーションの利用

当行は、日本銀行が行う気候変動対応を支援するための資金供給オペレーション(以下、気候変動対応オペ)の対象先に選定されています。
気候変動対応に資する投融資と判断するにあたっての基準および適合性の判断のための具体的な手続きを下記のとおり定め、脱炭素への取り組みを積極的に行って
まいります。

気候変動対応オペにおける対象投融資に関する基準および適合性の判断のための具体的な手続きの開示[PDF:117KB]

対象投融資の実績(残高):244億円(2025年3月末)

自然資本・生物多様性保全の取組み
[TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)提言]

当行グループが営業基盤を置く千葉県は、美しい海岸線を誇る九十九里浜や緑豊かな里山など、多様な自然環境が広がっております。地域の経済・産業・社会の持続的な発展のためには、次世代へと受け継がれる豊かな自然を守り、かつ生物多様性を保全していくことが必要不可欠であります。
当行グループは2024年9月に自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の開示提言へ賛同のうえAdopterとして登録し、気候変動への対応のみならず、自然資本・生物多様性保全に向けた取組みをより一層強め、適切な情報開示を進めてまいります。

[参画等行っているイニシアチブ]

  • 生物多様性のための30by30アライアンス

2030年までに、陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする30by30の目標達成を目指すために発足されたイニシアチブで、生物多様性保全へ積極的に取り組んでいくために参画いたしました。

  • TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)

自然資本や生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価・開示するためのフレームワークを確立することを目的として設立された国際的な組織で、同組織が公表した開示提言に沿って情報開示を進めてまいります。

ガバナンス

当行グループは、環境方針において気候変動への取組姿勢と併せて生物多様性への取組姿勢を明示し、多様かつ複雑化している環境問題へ多面的に対応することを明示しております。
また、自然資本・生物多様性に関する取組みについて、気候変動への取組み等と同様に執行は取締役頭取を委員長とするサステナビリティ推進委員会での審議・決定を中心とし、取締役会へ定期的に報告を行うことによりガバナンス体制を構築しております。執行における体制として、サステナビリティ推進委員会の下部組織として当行グループの幅広い環境保全取組みを管理・推進するecoアクション部会をはじめ、本部関係各部や営業店、関係会社が連携することによって推進しております。

戦略

自然資本における依存と影響の分析

TNFD提言内で提示されているLEAPアプローチに基づき、自然関連のリスクや依存度を理解するためのツールであるENCOREを活用して依存と影響の分析を実施いたしました。

  • LEAPアプローチとは、TNFDが開発した4つのフェーズ(L(発見)、E(診断)、A(評価)、P(準備))に基づいて自然資本に関連するリスクや機会を評価するアプローチの事であります。
  • ENCOREとは、セクターに基づいて自然資本への依存と影響を分析するツールであります。

【分析概要】

企業の事業活動は大気や土壌、動植物、水などといった生態系サービスに依存し、影響を与えているという前提のもと、当行融資先を融資割合に応じてセクターへ分類し、各セクターが依存及び影響している生態系サービスに対しヒートマップを作成いたしました。

[依存と影響の関係]

【分析結果および今後の取組み】

[依存の状況]

供給サービスの「地表水」及び「地下水」といった水資源、調整サービスの「気候調整」、「洪水及び嵐からの防御」、「地盤安定及び浸食防止」と、自然のプロセスに多く依存している結果を得ました。

[影響の状況]

「水質汚染物質の排出」が最も影響を与えており、次いで「温室効果ガスの排出」及び「土壌汚染物質の排出」が影響を与えている結果を得ました。

[セクター毎の影響・今後の取組事項]

当行の融資割合を鑑みて、「不動産業」が多くの生態系サービスに対して、依存及び影響している結果を得ました。次いで、「建設業」が多くの生態系サービスに依存及び影響している結果を得ました。
今回の分析結果を踏まえ、分析の高度化を図りながら自然関連のリスクと機会の特定に向けて取り組んでまいります。

[セクター毎の依存ヒートマップ]

[セクター毎の影響ヒートマップ]

  • 融資割合は2025年3月末の貸出金、支払承諾、外国為替、銀行保証付私募債の合計を基に算出しております。セクターの分類は、ENCOREにおけるセクター分類と日本銀行が制定した「業種分類一覧表」の分類を基に、当行で判定いたしました。

当行グループ拠点の自然との接点及びリスク

当行グループの拠点と自然との関わりについて、以下の観点から分析を行いました。

【千葉県自然公園自然環境保全地域等と当行グループ拠点との重なり】

千葉県自然公園自然環境保全地域と当行グループ拠点との重なりを分析したところ、同地域に立地する当行グループ拠点はないものの、一部当行グループ拠点が半径10km以内に位置していることを確認いたしました。
上記以外に、生物多様性の観点では、国や千葉県のレッドデータブック・レッドリストに掲載されている絶滅危惧種の生育・生息が確認されております。今後、TNFD提言に沿った「優先地域」の特定・評価に向けた取組みを進めるにあたり、当行グループ拠点における事業活動が生物多様性へどの程度影響を及ぼしうるのかを踏まえてまいります。

(参照)

千葉県ホームページ「千葉県自然公園自然環境保全地域まっぷ

千葉県生物多様性センターホームページ「千葉県レッドデータブック・レッドリストについて

【WWF Biodiversity Risk Filterによる自然関連のリスク分析】

水の利用可能性や生物多様性保全の状況など、自然関連のリスク分析ツールであるWWF Biodiversity Risk Filterを活用して当行グループ拠点の自然関連リスクを分析いたしました。

[当行グループ66拠点の自然関連リスクの状況]

[各リスクカテゴリの計測内容]
項目 計測している内容
供給サービス 水の利用可能性など
調整・支援サービス 土壌や水の状態など
調整サービス 土砂崩れの脅威など
文化的サービス 文化資源の利用可能性など
生物多様性への負荷 外来種の脅威など
環境要因 生態系の状況など
社会経済的要因 資源の希少性など
追加的な風評リスク要因 ネガティブニュースの有無など

[計測方法]
Biodiversity Risk Filterのリスクカテゴリーにおいて、当行グループ66拠点がどのリスクレベルに該当するかを確認し、Biodiversity Risk Filterのポートフォリオマネジャーから取得したデータを加工して使用いたしました。

(出典)
WWF Risk Filter Suite
https://riskfilter.org/biodiversity/home

[分析結果]

調整サービスにおいて、全拠点にて相対的にリスクレベルが高いことを確認いたしました。
こちらは土砂崩れや自然の中で発生する火災による影響のリスクカテゴリーとなります。引き続きリスク影響度などの分析を進めてまいります。