【2023年最新版】自動車の税金の種類や金額、減税制度について徹底解説

自動車を購入すると、車両代やカーナビなどのオプション費用だけでなく消費税や自動車税などの支払い義務も同時に発生します。
2023年時点で自動車に関する税金は4種類ありますが、各税金を対象とする減税制度を上手に利用することによって税金の支払額を抑えることが可能です。
この記事では、それぞれの税金の種類について詳しく解説します。

自動車に関する税金一覧

2023年時点で自動車に発生する税金は以下の4種類です。

  • 自動車税(種別割)/ 軽自動車税(種別割)
  • 自動車重量税
  • 環境性能割
  • 消費税

注意すべきは、税金によって支払うタイミングが異なる点です。以下で税金の概要や支払うタイミングについて紹介します。

自動車税(種別割)/ 軽自動車税(種別割)

自動車税/軽自動車税は、毎年4月1日時点で自動車の所有者が支払う義務のある都道府県民税です。毎年5月末までに、納税通知書に記載されている税額を支払う必要があります。
なお、自動車税の税額は総排気量等によって変動しますが、2019年10月に税制改正が行われました。この改正により、2019年10月以降に初回新規登録を受けた自動車は、税率が引き下げとなった新税額が適用されています。
また、所有している自動車の総排気量によって税金の種類が変わります。総排気量が660cc超の場合は「自動車税」、総排気量が660cc以下の場合は「軽自動車税」です。

自動車税
下記が総排気量別の自動車税の金額表になります。
総排気量 2019年9月30日以前 2019年10月1日以降
1,000cc以下 29,500円 25,000円
1,000cc超~1,500cc以下 34,500円 30,500円
1,500cc超~2,000cc以下 39,500円 36,000円
2,000cc超~2,500cc以下 45,000円 43,500円
2,500cc超~3,000cc以下 51,000円 50,000円
3,000cc超~3,500cc以下 58,000円 57,000円
3,500cc超~4,000cc以下 66,500円 65,500円
4,000cc超~4,500cc以下 76,500円 75,500円
4,500cc超~6,000cc以下 88,000円 87,000円
6,000cc超 111,000円 110,000円

税制改正前後で比較すると、全体的に税制改正後のほうが金額が少し安くなっているのが分かります。

参考:東京都主税局「自動車税種別割

軽自動車税
下記が軽自動車税の場合の金額表です。用途によって金額の違いがあるので、詳しくは管轄の税務署へお問い合わせください。
総排気量 2016年4月1日以前 2016年4月1日以降
乗用(自家用) 7,200円 10,800円
貨物用(自家用) 4,000円 5,000円
※用途別で税金に変動があります。

参考:総務省「平成28年度から軽自動車税の税率が変わります

自動車重量税

自動車重量税は、自動車の重量などに応じて税額が変動する国税です。支払い時期は自動車の購入時に初回分を支払い、2回目以降は車検時に自動車検査証(車検証)の有効期間分(2年分)をまとめて支払います。
税額は車両重量だけでなく、車種や経過年数によっても変動します。なお、環境基準を満たした車両であれば、自動車重量税にはエコカー減税が適用されます。詳しくは後ほど解説します。

参考:国税庁「No.7192 自動車重量税のあらまし

環境性能割

環境性能割は、2019年9月以前にあった自動車取得税が廃止された後に導入された税金です。2019年10月から新しく導入され、自動車の購入時に支払う必要があります。
税額は「自動車の通常の取得原価×税率」で算出され、税率は自動車が0〜3%、軽自動車が0〜2%です。新車・中古車に関係なく燃費性能が高い自動車ほど税率が低くなります。

  • 下記は課税対象外
    • 電気自動車
    • 天然ガス自動車
    • プラグインハイブリッド自動車
    • 取得金額が50万円以下の場合

参考:東京都主税局「自動車税環境性能割

消費税

消費税は、モノやサービスを買った場合にかかる税金です。2023年時点の消費税は10%なので、車両購入時に購入総額の10%分を消費税として支払わなければいけません。もちろん、車両本体価格以外にもカーナビやフロアマットなどのオプションや付属品などの消耗品にも消費税がかかります。
車両代にかかる消費税は購入時のみですが、他にも車検や修理に必要な消費税はその都度発生します。

参考:国税庁「消費税

自動車に関する税金の減税制度

自動車自体の価格が高額であるため、自動車に関する税金も高額となるケースが多いです。ただ、現在では複数の減税制度が用意されており、税額を抑えることが可能です。
ここでは、主な減税制度について紹介します。ご自身が購入予定の自動車が対象になるか確認しましょう。

  • グリーン化特例
  • エコカー減税
  • 自動車税環境性能割の税率が低い自動車
  • 障害者の割引

それぞれ詳しく見ていきましょう。

グリーン化特例

自動車の排出ガスによる環境汚染が世界的な問題になっている近年では、環境に配慮した自動車を対象にした減税制度が多く設けられており、グリーン化特例はそのひとつです。
グリーン化特例は、排出ガス性能や燃費性能に優れている自動車を購入した際に翌年度の自動車税/軽自動車税が軽減される制度です。
2019年4月1日〜2021年3月31日に購入した自動車は25〜75%、2021年4月1日〜2023年3月31日に購入した自動車は概ね75%が減税されます。

「令和5年度税制改正の大綱」で3年間延長する方針が示されました。詳細は令和5年度税制改正をご覧ください。

参考:「令和5年度税制改正の大綱

エコカー減税

エコカー減税も、環境に配慮した自動車を対象とした減税制度です。エコカー減税は排出ガス性能、燃費性能に優れている自動車が対象で、性能によって自動車重量税が免税または減税されます。
国土交通省が定めている基準を満たし、2023年12月31日までに新規登録をした自動車は燃費基準を60%以上達成することで段階的に減税されます。グリーン化特例と同じく2026年4月まで延長することが決まりましたが、要件は変わる予定です。
また、電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、プラグインハイブリッド自動車やガソリン車のうち2030年度燃費基準120%達成車(※)は2回分の自動車重量税が免除になります。そのため、実質5年分の自動車重量税の支払いが免除になります。

  • 2021年5月1日から2023年12月31日までの新車新規登録分

自動車税環境性能割の税率が低い自動車

環境性能割の税率が低い自動車は、購入時に支払う税額が少なくなります。そのため、環境性能割の税率が低い自動車をあえて選ぶことも自動車にかかる税金を減らす手段の1つです。環境性能割も3年間の延長が決まっています。

環境性能割は最大で3%ですが、電気自動車では非課税になる他、燃費性能が良ければガソリン車でも課税対象外になります。そのため200万円の自動車を購入した際には最大で6万円分の税金を節約することが可能です。

自動車によってはグリーン化特例やエコカー減税の対象にもなるため、税金の支払額を大きく減少させることもできます。車種にこだわりがないのであれば、電気自動車や燃費性能の良い自動車を選ぶことによって税金を安く抑えることが可能です。

参考:東京都主税局「自動車税環境性能割

障害者の割引

一部の自治体では障害者の方が使用する自動車に関して環境性能割、自動車税に対する減税制度を導入しています。
減免制度を適用するためには障害者手帳による障害の程度の確認などの条件があります。また、自動車を取得してから定められた期間を過ぎてしまうと減免申請ができなくなるので注意が必要です。

参考:国土交通省「自動車関係税制について(エコカー減税、グリーン化特例 等)

参考:東京都主税局「自動車環境性能割・自動車税種別割の減免制度のご案内

自動車の税金を抑えるポイント

自動車の税金は購入時期や車種によっても変動します。自動車の税金を少しでも節約するためにはいくつかポイントがあり、ポイントを把握することによって自動車の税金を抑えることが可能です。

  • 自動車の購入時期
  • 車種(普通自動車・軽自動車など)
  • 環境性能

それぞれ詳しく見ていきましょう。

自動車の購入時期

自動車税は、月割りで計算されて課税されます。そのため、自動車の購入、登録を月初に行っても月末に行っても課税されるのはひと月分です。購入・登録日に強いこだわりがない場合は、月初に登録することがおすすめです。
一方、軽自動車税の場合は月割りの概念がなく、4月1日時点で所有しているかどうかによって課税が決定されます。つまり4月2日以降に登録した場合には課税対象外です。

車種(普通自動車・軽自動車など)

税金額は、車種(普通自動車・軽自動車など)によっても大きく異なります。普通自動車では「排気量」によって課税額が変わりますが、軽自動車の税金は一律です。少しでも税金を抑えたい方は、軽自動車か排気量が少ない自動車を選択すると良いでしょう。

環境性能

これまで見てきたように、環境性能が高い自動車を選ぶことによって、自動車重量税や環境性能割の税金を抑えられます。そのため、電気自動車やハイブリッド車などを選ぶことも視野に入れて考えてみることも大切です。

自動車を購入するといくら税金がかかる?シミュレーションで解説

以下の条件で自動車を購入した場合に、3年間で税金がいくらかかるのかをシミュレーションしてみましょう。

  • 購入年月:2023年2月
  • 計算対象期間:購入後3年間
  • 購入車:コンパクトカー(ガソリン車)
  • 購入価額:300万円
  • 排気量:1,600cc
  • 重量:1,300kg
  • 燃費達成度:
    1. 1平成30年排出ガス規制50%低減かつ令和2年度燃費基準を達成している
    2. 2令和12年度燃費基準60%以上達成

自動車税のシミュレーション

排気量1,600ccは「排気量1,500cc超~2,000cc以下」の区分に該当します。「2019年10月1日以降に初回新規登録」という条件にも当てはまるため、自動車税の年額は36,000円です。

また、今回購入した車は4月時点で所有していると仮定しているため、翌月の5月に初年度分の自動車税を納める必要があります。以降は毎年年額で36,000円を支払うため、購入後3年間の自動車税の合計は108,000円です。

自動車重量税のシミュレーション

新車で自家用車を購入した場合は、次の車検までの有効期間が3年間となるため、自動車重量税の支払い時には3年分をまとめて支払います。今回のシミュレーションでは車両重量が1,000kg超~1,500kg以下・燃費達成度が25%軽減に該当するため、購入後3年間の自動車重量税の合計は16,800円です。

環境性能割のシミュレーション

今回のシミュレーションでは、税率は取得価額300万円×2%となり、支払税額合計は60,000円です。

シミュレーションの合計金額

今回のシミュレーションで試算した税額を以下の表にまとめました。

税金種別 該当区分 税金/年 税金/合計
自動車税 排気量1,500cc超~2,000cc以下 36,000円 108,000円
自動車重量税 「平成30年度燃費基準の排出ガス50%低減の水準」を達成かつ「令和12年度燃費基準60%」を満たす 重量1,000kg超~1,500kg以下 16,800円
環境性能割 60,000円(購入時のみ) 60,000円
(※あくまでシミュレーションのため、実際の税額とは異なる場合がございます。)

このことから、例示した条件で自動車を購入した場合の向こう3年間の税金の合計は、184,800円となります。

自動車の税金はいつ払う?支払いタイミングを解説

自動車の納税額は4月1日に決定され、納税通知書が送付されます。送付されるのは5月上旬で支払い期限は5月末です。支払い期間が短いため、納税通知書が届いたらできるだけ早く支払うようにしましょう。
前述した通り、年度の途中で自動車を購入もしくは廃車にした場合は、月割り計算で支払いや還付が発生します。購入の場合は車両登録時に支払い、廃車の場合は手続き後の1~2ヶ月後に還付通知書が届きます。

軽自動車は年度の途中で購入しても、購入した年度の軽自動車税は支払う必要がありません。ただし売却や廃車など、自動車を手放す際に還付が受けられない点は確認しておきましょう。

自動車に関する税金の支払い方法

自動車税の支払い方法は複数ありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。ここからは、自動車に関する税金の支払い方法について紹介します。自身に最も適した方法で、早めに支払いを済ませましょう。

  • 現金一括
  • バーコード決済
  • クレジットカード
  • 電子マネー
  • カーローン

それぞれ詳しく見ていきましょう。

現金一括

現金一括払いは、金融機関や税務署・コンビニなどに納税通知書と現金を持って行く方法です。目の前で納税処理が行われるので納付証明書がすぐにもらえるのがメリットです。

バーコード決済

地域によって対応範囲は異なるものの、自動車税はバーコード決済もできます。納税通知書に表示されたバーコードをスマートフォンで読み取ることにより、どこにいても納付することが可能です。
ただし、バーコード決済を利用した納付の際には、領収書や納税証明書は発行されません。(※)
運輸支局で納付状況が確認できるまでに時間を要するため、納付後すぐに車検を受ける場合などは、納税証明書が取得できる場所での納付をおすすめします。

  • 2015年10月から、自動車税種別割の納税確認が電子化されたため、車検時に納税証明書を提示する必要がなくなりました。

クレジットカード

2016年の税制改正を発端に、各種税制の納付にクレジットカードが利用できるようになりました(一部の県を除く)。
クレジットカードの引き落としは、一般的には利用月の翌月以降になることが多いため、支払い時に手元にお金がなくても乗り切ることができます。しかし、クレジットカード決済をするためには決済手数料が必要となる場合があることを把握しておきましょう。

電子マネー

最近は、自動車税の支払いにおいて、電子マネーが利用できる自治体が増えてきています。日ごろ電子マネーを利用している方にとっては、面倒な手続きをすることなく、手軽に支払えることはメリットです。
ただし、バーコード決済と同様に電子マネーでの支払いにおいても、納税証明書や領収書が発行されない点には注意してください。

カーローン

カーローンの使い道として「自動車税の支払い」を指定することも可能です。カーローンは、銀行などで申し込み、審査に通れば誰でも利用できます。まとまった資金を準備することが難しい方は、計画的に返済を進められるカーローンを利用するのも1つの手です。

自動車の税金を払えなかったら? 滞納してしまった場合

税金を払えなかったら、「滞納」と呼ばれる状態になります。自動車の税金を滞納していると、車検が通りません。それだけではなく、支払いの滞納期間に応じて延滞料金も発生します。
自治体などから督促状が届いてもなお納税しなければ、自動車が差し押さえられる可能性もあります。当たり前のことですが、税金の支払いには十分気を付けましょう。

車の税金に関するよくある質問

車を購入する機会は多くないため、税金の支払いに関して疑問を抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。住所変更など必要な手続きを怠ると滞納などのリスクが発生します。そのような事態を避けるために、自動車に関する税金を支払うときの、よくある質問について解説します。

  • 納税通知書が届かないのはなぜ?
  • 車検証の住所変更はどこからできる?
  • 住所変更はいつまでにすればいい?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

納税通知書が届かないのはなぜ?

5月上旬を過ぎても納税通知書が届かない場合は、車検証の住所を確認しましょう。納税通知書は車検証に記載されている所有者の住所に送付されます。納税通知書が届かなければ税金を滞納してしまうリスクがあるため、届かない場合はすぐに原因を確認する必要があります。
まずはご自身がお住まいの自動車税コールセンターや税事務所、市区町村の納税課に問い合わせるとよいでしょう。

車検証の住所変更はどこからできる?

普通自動車は地方運輸局で、軽自動車は軽自動車検査協会で車検証の住所変更ができます。普通自動車の場合に限り、オンラインでの手続きも可能です。
地方運輸局、軽自動車検査協会は各地域にありますが、どの地域の窓口に行っても良いわけではなく、転居先の地域を管轄する窓口で手続きをしなければいけません。
住民票など必要な書類があるため、事前に確認して手続きを行いましょう。

住所変更はいつまでにすればいい?

住所変更は引っ越してから15日以内に行いましょう。手続きに必要な住民票は転居先の新住所の記載がないといけないため、手続きの順を考えないと二度手間になることもあります。
車検証の住所変更には自動車保管場所証明書(車庫証明書)が必要ですが、自動車保管場所証明書(車庫証明書)は発行に時間がかかるので早めの手続きを心がけましょう。

自動車のローンなら、ちば興銀のカーローン

自動車を購入する際は、車両代金以外にもさまざまな費用が必要となります。税金などの必要経費を事前に見積もり、余裕を持った支払い計画を立てることが必要です。

千葉興業銀行の「ちば興銀マイカーローン」では、借入金は最大2,000万円まで、借入期間は最長15年と長期間でのお申し込みが可能です。お申し込みはインターネットにて簡単に行えます。
自動車に関するお支払いでローンの利用を検討されている方は、ぜひ、ちば興銀にご相談ください。

宮澤 哲平

(CFP®・FP1級技能士・宅建士)

旅行会社・大手保険代理店・独立系FP事務所に勤務。住宅購入やローン選び・保険見直し相談・家計の固定費削減による貯蓄などの家計相談を400件以上相談アドバイスの実績あり。
現在は練馬FPオフィスで20代や30代の同世代向けに相談業務を行う。

2023年11月1日現在

他のコラムを見る