家庭用太陽光発電の平均設置費用はいくら?太陽光パネルの価格も解説

環境への配慮や電気料金の高騰などを背景に、家庭用太陽光発電の導入を検討する家庭が増えつつあります。

太陽光パネルの設置費用は高額のイメージがあるかもしれませんが、補助金制度などを活用すれば、初期費用を抑えることが可能です。

この記事では、家庭用太陽光発電を設置する際にかかる費用や設置後に必要なコスト、設置費用を抑える方法などについて解説します。ぜひ参考にしてください。

家庭用太陽光発電の設置費用の平均

2024年の家庭用太陽光発電の設置費用の平均は、1kWあたり29.5万円でした。

一般的な家庭の場合、太陽光パネルの最適な容量は5kW程度と考えられており、必要な費用は平均で147.5万円になります。

項目 1kWあたりの費用 5kWあたりの費用
新築 28.6万円 143.0万円
既築 32.6万円 163.0万円
全体 29.5万円 147.5万円

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「太陽光発電について(2024年12月)[PDF:5.3MB]

既に建設済みの住宅と比較して、新築住宅のほうが太陽光発電の設置費用が安価な理由は、建築するタイミングで太陽光パネルの設置ができるためです。

また、新築で設置する場合は、建物の設計段階でパネルの最適な設置場所を検討でき、効率的な発電が期待できます。

これに対して、既築の場合、屋根の耐荷重を調べる調査や太陽光パネルを設置するためだけに足場を組まなければならず、割高になる点に注意が必要です。

家庭用太陽光発電の設置費用の内訳

家庭用太陽光発電を設置する際に必要なのは、太陽光パネルの費用だけではありません。

太陽光パネルによって発電した電気を家庭で利用できるように変換する装置や、屋根に固定するための土台などが必要です。

新築の場合の具体的な内訳は、以下の通りです。

内訳 費用
太陽光パネル 13.6万円/kW
架台 2.8万円/kW
パワコン 5.0万円/kW
工事費 8.4万円/kW

太陽光パネル自体の費用は全体の47%程度です。

工事費は、工事内容や施工業者によって金額に差が生じます。複数社から見積もりを取って比較検討することが大切です。

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「太陽光発電について(2024年12月)[PDF:5.3MB]

太陽光パネルの費用

太陽光パネルにかかる費用は、新築の場合で1kWあたり13.6万円です。

一般的な住宅の場合、3kW~5kWの電力になり、太陽光パネルの設置費用の目安は40~60万円ほどとなります。

架台の費用

架台とは、太陽光パネルを固定する金属製の土台のことで、1kWあたり2.8万円が平均価格となります。
太陽光パネルが増えれば架台も大きくなりますので、発電量が増えれば架台の値段も上がります。

3~5kWの一般的な家庭用太陽光発電の場合、8万~14万円が架台の費用目安となります。

パワコン(パワーコンディショナー)の費用

パワコンとは、直流電力を交流電力に変換する機器のことです。

家庭で使われる家電製品の多くは交流で稼働します。太陽光パネルによって発電した電気は直流のため、パワコンによって交流に変換する必要があるのです。

パワコンの平均価格は1kWあたり5万円です。

3~5kWの一般的な家庭用太陽光発電の場合、15万~25万円がパワコンの費用目安となります。

工事費

経済産業省のデータによると、太陽光パネルを設置するための工事は、1kWあたり8.4万円です。工事の規模が大きくなるほど、費用も多く必要になります。

3~5kWの一般的な家庭用太陽光発電を設置する工事であれば、24~42万円が工事費の目安となります。

工事費は、家庭用太陽光発電の設置にかかる費用の中でも2番目に高い項目です。そのため、パネルやパワコンにかかる費用だけでなく、工事費用がどのくらいになるのかよく比較検討する必要があります。

屋根の形状や工法によっても値段に差が生じることを覚えておきましょう。

その他にかかる費用

上記以外で、太陽光発電の設置に費用が掛かるものとしては、発電量を確認するモニター代や、その他手続きに必要な諸経費などが挙げられます。

モニターについては、太陽光発電を導入する際にセットでついている場合や、オプションとなっている場合があるため、メーカーで確認が必要です。

家庭用太陽光発電を設置した後にかかる費用

家庭用太陽光発電を設置した後にかかる主な費用としては、以下のようなものがあります。

  • 太陽光パネルの交換費用
  • 部品交換費用
  • 鳩対策の費用

太陽光発電に必須の装置である太陽光パネルやパワコンには寿命があり、定期的な交換が必要です。

また、鳩の羽や糞などが設備の内部に侵入すると故障の原因となるため、鳩対策の費用も必要です。

これらの費用は状況に応じて発生し、安価ではない場合もあります。設置前にランニングコストが発生することをよく理解しておく必要があるでしょう。

家庭用太陽光発電の設置費用を抑える3つの方法

家庭用太陽光発電の設置にかかる費用をなるべく抑えたいという方は多いでしょう。

以下のような補助金や減税制度を効果的に活用することによって、費用を抑えることができます。

  • 自治体の補助金を使う
  • 蓄電池導入で国の補助金を使う
  • リフォーム減税制度を活用する

それぞれについて詳しく解説します。

自治体の補助金を使う

設置費用を抑える例として、各自治体が用意している補助金を利用する方法があります。

補助金額や条件などは自治体によって異なるため、詳細はお住まいの自治体のウェブサイトで確認しましょう。

例として、千葉県の補助金について紹介します。

補助金対象 補助金額
太陽光発電設備 1kWあたり5万円
例:5kWの太陽光パネルを設置した場合、5kW×5万円=25万円
蓄電池 12万円

太陽光発電設備および蓄電池は、リースまたはPPA(電力販売契約)により県内の住宅に設置する事業であることが条件です。また、申請手続きは住宅の所有者ではなく、千葉県に登録されたリースまたはPPAの事業者が行います。

県から交付された補助金は、月額リース料などの形で所有者に還元されます。

令和7年度分は10月31日に締め切られています。補助金は予算が上限に達した時点で終了となるため、余裕を持って申請することが大切です。

出典:千葉県「令和7年度千葉県住宅用太陽光発電設備等に係るリース等導入促進事業設置プランの募集について

蓄電池導入で国の補助金を使う

太陽光パネルの設置に対する国の補助金制度はありませんが、蓄電池は補助金の対象となります。

蓄電池とは、発電した電気を貯めておき、都合の良いタイミングで貯めた電池を使うことができる装置です。

蓄電池を設置するためには費用がかかりますが、節電効果が期待できるため、トータルではプラスになる可能性があります。

国の蓄電池に対する補助金制度は、以下の通りです。

補助金制度 補助金額
DR家庭用蓄電池事業 最大60万円
子育てグリーン住宅支援事業 6万4,000円/戸

DR家庭用蓄電池事業とは、電力の需給バランスを保つための仕組みに対応した蓄電池の導入を促す国の補助金事業のことです。

子育てグリーン住宅支援事業とは、省エネ性能の高い住宅の新築や新築分譲住宅の購入、リフォームなどに対して補助金を支給する事業のことを指します。

なお、2025年度のDR家庭用蓄電池の補助金はすでに予算が上限に達し、受付を終了しています。

出典:環境共創イニシアチブ「DR家庭用蓄電池事業
出典:国土交通省・環境省「エコ住宅設備の設置【リフォーム】|子育てグリーン住宅支援事業

リフォーム減税制度を活用する

直接費用を抑えることにはなりませんが、国の省エネリフォーム減税制度を活用することで、所得税の税額控除を受けられる可能性があります。

省エネリフォーム減税制度とは、自宅の省エネリフォームを行った際に活用できる減税制度のことです。太陽光発電は省エネリフォームに含まれるため、所得税の控除や固定資産税の減額措置を受けることが可能です。

所得税の控除率は標準的な工事費用相当額の10%と定められており、太陽光発電を設置する場合の最大控除額は1戸あたり67.5万円です。

固定資産税については、工事翌年度の課税額から120m²相当分まで固定資産税額が3分の1減額されます。

詳しい適用条件については、国土交通省のウェブサイトを確認しましょう。

出典:国土交通省「省エネリフォーム税制(所得税・固定資産税)
関連記事:【2025年最新版】リフォーム減税制度や確定申告書類を徹底解説!

家庭用太陽光発電を設置した場合の節約シミュレーション

家庭用太陽光発電は初期費用やランニングコストがかかりますが、補助金や減税制度の利用、電気の利用方法を工夫することによって節約につなげられます。

自宅に太陽光発電を設置して電気を作れば、発電した電気は無料で使用できます。その分、電力会社から購入する電力を減らせるため、節約につながるでしょう。

また、使いきれない電力を電力会社に売って収入を得ることも可能です。

それぞれについて詳しく解説します。

自家消費のシミュレーション

家庭用太陽光発電は、容量1kWあたり年間で約1,000kWhの発電量が目安とされています。標準的な家庭で設置されることが多い5kWの場合、年間の発電量は約5,000kWh前後となります。

このうち、家庭で実際に消費される自家消費率は約30%が目安です。したがって、自家消費に回る電力は年間で約1,500kWh前後と計算できます。

全国家庭電気製品公正取引協議会が定める電力料金の目安単価(31円/kWh)に基づいて計算すると、電気料金の削減額の目安は下記の通りです。

【電気料金削減額の目安】
1,500kWh×31円=46,500円

家庭用太陽光発電の自家消費により、年間で約46,500円の電気料金を削減できるという結果になります。ただし、太陽光発電は容量によって節約できる金額が変わるため、状況に応じたシミュレーションが不可欠です。

出典:公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会「よくある質問 Q&A

売電収入のシミュレーション

家庭用太陽光発電の売電率は70%程度です。

5kWの太陽光発電を設置して年間の発電量が5,000kWhの場合、70%にあたる3,500kWhを売電できる計算になります。

例えば、家庭用太陽光発電(容量10kW未満)の売電単価を1kWhあたり15円とすると、売電収入の目安は下記の通りです。

【売電収入の目安】
3,500kWh×15円=52,500円

売電単価は、国の認定を受けるタイミングによって適用される金額が変わります(固定価格買取制度/FIT)。

2025年10月~2026年3月に認定を受けた場合、設置から4年間は24円/kWh、5年目から10年目までは8.3円/kWhの売電単価が適用されます。

2026年4月以降に太陽光発電を設置する場合は、売電単価がいくらになるのか、事前に確認することをおすすめします。

出典:一般社団法人太陽光発電協会「太陽光発電の状況
出典:経済産業省 資源エネルギー庁「FIT・FIP制度|買取価格・期間等

家庭用太陽光発電の設置費用にはリフォームローンを活用しよう

家庭用太陽光発電を設置するには、150万円以上が必要になるケースが多いです。

しかし、自治体や国の補助金制度を活用したり、リフォーム減税制度を利用したりすることで、費用を抑えることが可能です。

発電した電気の余剰分を電力会社に売って収入を得ることもできるため、トータルで考えると得をするケースもあります。

設置時の負担をできるだけ減らしたい場合は、リフォームローンの活用がおすすめです。

リフォームローンとは、住まいの増改築や修繕、バリアフリー工事などの費用に充てられるローンで、太陽光発電の設置費用にも活用できます。

住宅ローンと比較すると少額から借入れができ、担保なしで借りられる商品が多いことが特徴です。

関連記事:ちば興銀のリフォームローンとは?どんな人におすすめかなどを解説

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水野崇

水野 崇(みずの たかし)

水野総合FP事務所代表。東京理科大学理学部応用数学科卒業。
相談、執筆・監修、講演・講師、取材協力、メディア出演など多方面で活動している。
学校法人専門学校東京ビジネス・アカデミー非常勤講師。
テレビ朝日「グッド!モーニング」、BSテレ東「マネーのまなび」などに出演。
NHK土曜ドラマ「3000万」の家計監修を担当。

<資格>1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、証券外務員1種 など

【URL】https://mizunotakashi.com

2025年12月12日更新