人材戦略
当行グループのパーパス「いちばん近くで、いちばん先まで。千のしあわせを、興そう。」は、当行グループがめざす千葉の未来やお客さまの未来への貢献を具体的に示しております。これを理解し、実践するのは従業員一人ひとりであり、当行にとって人材は最も重要な経営資源であると同時に、当行グループの存在意義を体現する重要な要素です。そして、従業員一人ひとりのエンゲージメントを向上させることが、パーパスの実現と経営計画の達成を着実なものにしていくと考えております。このエンゲージメントは、各個人が自らの役割を理解し、共感を持って行動することで生まれ、このプロセスにより、個々の成長が組織全体の成長に寄与する相互依存の関係を築くことにつながっております。
経営戦略と人材戦略の関係性
パーパスを実現するための人材戦略は、人材育成方針と人材活用方針を基盤としており、これに基づく「3つの価値創造プロセス」を通じて、従業員のエンゲージメント向上をめざします。この人材重視の経営モデルは、経営計画の達成に向けた重要な取組みであり、持続可能な成長を支える基盤となります。
従業員一人ひとりが最大限の能力を発揮できる環境を整えることが、全体のパフォーマンス向上に寄与し、価値ある成果創出につながると考え、2025年度より開始した中期経営計画において、人事制度の刷新を行ってまいります。

プロセス①:仕事を通じた歓びと成長
新しい人事制度では、従業員の専門能力を最大限に活用できる環境を整え、適職感や成長実感を高めることをめざします。
具体的には、従業員一人ひとりの強みを重視するため、性格や行動特性、保有する専門能力等によって、毎年「職務Type」を判定し、個々に適したキャリア開発支援やスキル向上の機会を提供いたします。また、各職務毎に必要とされる専門能力と従業員個人の「職務Type」が合致する人材登用や配置を実現することで、モチベーションを向上させます。さらに、組織目標と個々の貢献を結びつけることで、従業員の帰属意識を醸成し、エンゲージメントを高めてまいります。

プロセス②:私生活との統合を通じた安心と自己実現
従業員のエンゲージメント向上に向け、新たに「ピープルマネジメント」に取り組んでまいります。
「ピープルマネジメント」とは、日ごろのコーチングやフィードバックを通じ、モチベーションやキャリア形成をも含めた部下の成功にコミットする、という従業員の能力やモチベーションを最大限に引き出すためのマネジメント手法です。このアプローチでは、従業員の成長をサポートし、一人ひとりの夢や目標を理解することが重要です。
まず、従業員の夢を理解しサポートすることで、管理者と部下の間に信頼関係を構築し、オープンなコミュニケーションを促進いたします。そして、管理者や職場の仲間のサポートにより、一人ひとりの自己実現を支援、またはその機会を提供することで、従業員のモチベーションを向上させ、業務への積極的な取組みを促すとともに、職場のチームワークを強化し、共通の目標に向かう一体感を生み出します。
プロセス③:地域貢献を通じた地元愛と誇り
新中期経営計画では、従業員エンゲージメント向上のため、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)の推進に注力してまいります。ソーシャルキャピタルは、従業員間の信頼関係を強化し、職場の活気を生む重要な要素です。これらを企画・推進する部署を人事部内に設立し、行内外イベントや異業種交流・地域貢献活動等を通じて、ステークホルダー間の交流を活性化させます。これにより、従業員の視野が広がり、さまざまなアイデアが交わされるとともに、イノベーションが促進されることを期待しております。また、地域社会・人材とのソーシャルキャピタルの創出は、当行がめざす「CKBコミュニティ」確立の一助となり、地域の発展にも寄与するものです。
能力開発強化の具体的な取組事項
継続的で多種多様な能力開発機会の提供
コンサルティング業務には課題・ニーズへの解決策を考える力が何よりも必要であることから、当行では8,000本超の動画教材やグループによる協働学習、対面・非対面研修を織り交ぜた継続的な学習を強力に進めております。また、専門的な知識に加え、基礎的なスキルとして「思考力」を重要視していることから、資格取得報奨金の支給等、専門知識取得を奨励するほか、階層毎の各種思考力強化プログラムを実施し、コンサルティング人材の底上げに取り組んでおります。2020年7月に開設した企業内大学「こうぎん考動館」は、従業員同士がお互いに学び合う機会を提供し続けており、開設以来累計68回開催、延べ783名が参加しております。これらの取組みに加えて、人事諸制度では職務Type別の公募型能力開発プログラムやマネジメント・リーダーシップ開発プログラムを拡充してまいります。
異業種交流の拡充

伴走型コンサルティングにおける対面コンサルティングのスピード・質の強化には、お客さまに対する非金融・情報提供の拡充が欠かせません。そのためには、これまで以上にお客さまに共感し、つながりと絆を深め、親密度を高めるとともに、従来の枠にとらわれない「新たな視点・発想の習得」、「新たな価値創造」が必要です。2022年度より当行の研修プログラムをお取引先従業員にも開放してスタートさせた異業種交流ワークショップを今後も拡充してまいります。
従業員が最大限に能力を発揮し活躍できる環境構築の具体的な取組事項
若手の活躍推進
入行直後からキャリア開発研修や人事部面談を通じてキャリア自律の意識醸成を図り、毎年、自身のキャリア志向について自己申告する仕組みや申告を踏まえた配属、またはポスト公募制を採用し、行員のチャレンジを促し抜擢する仕組み等を導入しております。
外部専門人材・パートタイマーの活躍推進
有資格の副業人材等、外部専門人材を積極的に採用するため、さまざまな条件で受け入れることのできる就業体制を整備しております。
また、従来の中途退職者再雇用制度の受入要件緩和や、アルムナイ・リファラル採用制度を新たに整備し、当行の理念や経営戦略を理解している人材の確保を強化しております。パートタイマーの正規社員登用(行員転換)も積極的に行っております。
障がい者雇用
個性や強み、障がいの状況に応じた業務に従事できる部署への配属や、通院等が必要な場合の休暇制度の新設等、必要な職場環境整備を行う等して、最大限能力を発揮し、モチベーション高く仕事に取り組めるような支援に努めております。
女性活躍・子育て支援
結婚や出産等を理由に女性が退職を選択することは企業にとって大きな損失であるという考えのもと、仕事とプライベートの両立支援や職域拡大を進めております。育児関連支援の充実や不妊治療のための制度の導入等、働きやすい職場づくりに向けたさまざまな取組みを行う中で、幹部行員として位置付けられる経営職の女性比率は11.6%となり、女性活躍推進に関する各種外部評価や認定を受けております。
当行は、単線型の人事制度を運用しているため、制度的には男女の賃金差は生じておりません。正規雇用労働者の賃金差については、諸手当(時間外勤務手当、家族手当、住宅手当等)の支給が男性の方が多いことにより生じております。テレワーク、フレックスタイム制の活用により、時間外勤務時間数の縮減を図っております。
| 管理職に占める女性 労働者の割合※1 |
男性労働者の育児休業 取得率※2 |
労働者の男女の賃金の差異※1 | ||
|---|---|---|---|---|
| 全労働者 | 正規雇用労働者※3 | パート・有期労働者 | ||
| 24.7 | 100.0 | 59.2 | 76.2 | 61.4 |
- ※1「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。なお、管理職に占める女性労働者の割合は、出向者を出向元の労働者として集計し、労働者の男女の賃金の差異は、休職者を除き、正規雇用労働者は行員を、パート・有期労働者は嘱託社員、パートタイマーを集計しております。また、パートタイマーのうち、行員と比して所定労働時間が短い者については、短縮率等に応じて人数換算しております。
- ※2「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しており、出向者は出向元の労働者として集計しております。
- ※3正規雇用労働者のうち当行職責階層(役割・責任に応じた階層)に区分した場合の男女の賃金の差異(%)
| 経営職 | 管理職 | 特定職Ⅰ | 推進職 | 指導職 | 事務職 |
|---|---|---|---|---|---|
| 95.5 | 87.8 | 95.7 | 87.6 | 90.1 | 103.3 |
- ※経営職は支店長クラス、管理職および特定職Ⅰは課長クラス、推進職は係長クラスで休職者を除き集計しております。
従来より、女性活躍を推進してまいりましたが、真の女性活躍には、性差のないワーク・ライフ・バランスの実現が不可欠であるとの認識から、以下の取組みを実施しております。
配偶者出産特別休暇
男性行員は、配偶者の出産に際し、産前6週間、産後8週間の期間中に5日間の休暇が取得可能です。配偶者の産前産後という重要な時期に、安心して家族をサポートできる環境を提供しております。
出生時育児休業制度(産後パパ育休)

産後パパ育休は、入行1年以上の男性行員を対象とし、子の出生後8週間以内に最大4週間、有給扱いで休業可能です。経済的な不安を軽減することで、男性行員が育児休業を取得するハードルを下げ、育児への参加を促進しております。
テレワーク、フレックスタイム制
モバイル端末を利用したテレワークにより、勤務場所を選択できる柔軟な働き方を推進し、勤務時間についても行員の自主性に任せ、柔軟に設定できるフレックスタイム制を導入しております。多くの行員が、趣味や子育て等、仕事とプライベートの両立に活用しております。
健康経営
健康維持・増進および治療と仕事の両立を支援し、心身ともに健康で長く働くことができる環境を作ることによる生産性と企業価値の向上をめざし、2024年に健康経営宣言を行いました。
健康経営宣言
千葉興業銀行の企業理念である「地域とともに お客さまのために 『親切』の心で」を実践するためには、従業員一人ひとりが活き活きとやりがいを持って働くことが重要です。
当行では、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた持続的な取組みや時間外勤務短縮への取組み、疾病予防、運動習慣定着に向けたイベント等を通じて、従業員の心身の健康の保持・増進を図り、組織力を向上させることで、お客さまと当行の持続的な発展と成長をめざします。
取締役頭取 梅田 仁司
健康経営に係る各種施策は人事部、健康保険組合、産業医・保健師、従業員組合の4者が連携・共同して進めております。

健康経営の実施により期待する効果
健康維持・増進および治療と仕事の両立への取組みにより、多様な人材の活躍を推進し、心身ともに健康で長く働くことができる環境を作ることで、生産性の向上・企業価値の向上をめざします。
健康経営に関する取組み
- 【健康管理】
- 定期健康診断・二次検査の受診勧奨、人間ドックの指名受診、大腸がん・胃がん検診、歯科検診、ストレスチェック実施、運動習慣の推進、禁煙希望者への支援、スポーツ施設提携 等
- 【相談体制】
- 産業医面談・保健師の巡回、外部相談窓口(こころと体の健康相談・サポートホットライン)、人事部窓口 等
- 【職場環境整備】
- 有給休暇取得の推奨、過重労働の防止 等
従業員資産形成支援
日常生活や将来の経済的な不安を取り除き、経済的な安定を支援するため、従業員持株会制度や持株会奨励金制度、財形(年金・定期預金)制度、確定拠出年金制度、従業員向け株式給付信託制度等を設け、従業員の資産形成支援に取り組んでおります。
福利厚生制度
従業員の健康増進や余暇の充実のため、各種休暇制度の拡充やスポーツ施設・宿泊施設との提携に努めております。









